エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.805
2019.12.06 更新
文:撮影・松野 将太
まずは、メモリクロックによるPCのパフォーマンスへの影響をベンチマークテストで見てみよう。ベンチマークに使用するのは「Sandra 20/20」で、「メモリの帯域」と「メモリのレイテンシ」のスコアをチェックする。参考までに、XMPプロファイルを適用したDDR4-3200の状態と、メモリの標準プロファイルであるDDR4-2400、2つの動作クロックでスコアを比較した。
「整数メモリ帯域」はおよそ7GB/sec、「浮動小数点メモリ帯域」は7.5GB/secほどと、動作クロックに約800MHzの違いがあるだけあって、目に見えて帯域が改善されているのが分かるだろう。レイテンシについては3.4nsの差で、こちらも明確にパフォーマンスが違っている。Intelのメインストリーム環境ではDDR4-3200はオーバークロック動作となるが、恩恵は間違いなくあるため、ぜひともしっかりプロファイルを適用したいところだ。
続いて、CPUの定番ベンチマークである「CINEBENCH R20」では、それぞれのメモリクロックで動作させた際のスコアと、システム全体の消費電力を見てみよう。消費電力については、起動後10分間何もしなかった際の電力を「アイドル時」、「CINEBENCH R20」のマルチスレッドテスト実行時の最大値を「高負荷時」として、ワットチェッカーで計測している。
テスト自体がメモリをそれほど利用しないこともあって、メモリの速度によるスコア差に有意な違いは見られなかった。OC後のほうが高負荷時の電力がわずかに高くなるものの、わずか5Wの違いということもあり、あまり気にする必要はないと言える。
最後に、ゲーム系ベンチマークでメモリによるスコア差がどの程度つくかを見てみよう。フルスクリーン設定、解像度1,920×1,080ドット、最高品質の設定で「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」を実行し、スコアを比較している。
別のメモリ検証で「RTX 2080 Ti」を搭載してメモリの動作クロックを変えた際は、DDR4-2666動作時とDDR4-3200動作時で約1,000ポイントの性能差が出たのだが、今回はグラフィックスカードのパワーがそれなりということもあって、目に見えるほどの違いは生まれなかった。よりハイエンドなグラフィックスカードを活用してゲーミングを行うユーザーであれば、メモリのオーバークロックがフレームレート改善に役立つため、オーバークロックメモリを検討するのが良いだろう。