エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.806
2019.12.09 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
ここからは、やや趣向を変えて実際のゲームシーンを想定した挙動を「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークで確かめてみよう。グラフィックス設定は「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットにセットし、30分間ループで動作させた結果が以下の通りだ。
消費電力は最も高い数値で278Wと、まだまだ余裕がある。そして結果に目を移してみると、これまでとはやや違った動きが見られた。グラフはブレがほとんどなくフラットながら、+12Vは負荷動作中にほぼ11.952Vを示しており、平均値もわずかに12Vを割っているのが分かる。
ただし電圧変動の幅はこれまで同様に+0.008%/-0.004%であり、安定性の高さに疑問を差し挟む余地はない。SFX電源の電圧レギュレーションは、規格上5%まで電圧変動を認めていることを考えれば、いかに「ION SFX 650G」が安定して動いているかが実感できるだろう。
動作テストの締めくくりとして、「Battlefield V」をプレイした際の挙動を見ていこう。描画品質は“最高”を選択し、解像度を3,840×2,160ドットに設定しつつ、リアルタイムレイトレーシング機能の「DXR(DirectX Raytracing)」を有効化。最大限の負荷がかかるように設定した。シングルプレイヤーモード「大戦の書」の「最後の虎」を30分間プレイ、その際にどのような変化があっただろうか。
最大消費電力は283Wとまずまずだが、グラフィックスの負荷はかなり重い。不規則に負荷がかかることも多いゲームプレイ時とあって、さすがにグラフもまったくのベタ凪ぎということはなく、微細に変動していることが分かる。しかし+12Vを中心に結果を見ていけば、全体の変動幅はこれまで通り+0.008%/-0.004%で、平均値はほぼ定格ピタリ。重量級タイトルの乱暴な負荷変動においても、ド安定の出力を維持できている点はさすがだ。
「Ion SFX」シリーズを評価する上で、やはりケーブルの話題は避けて通れない。「Ion+ Platinum」シリーズでユーザーを驚かせた「UltraFlexケーブル」は、触れれば感激するほどに柔らかく、扱いやすさは一般的な電源ユニットとは比較にならない。この仕様は、ATXより狭隘な配線が要求されるであろう、スモールフォームファクタのSFX環境で真価を発揮するハズだ。
そしてやや俗な側面では、80PLUS GOLD認証モデルとしてリリースされた点も見逃せない。「Ion+ Platinum」シリーズは極めて完成度の高い電源ユニットだったものの、ハイクラスのPLATINUM認証製品のため、価格もプレミアムだった。その点でGOLD認証モデルの「Ion SFX」シリーズは、まだしも手を伸ばしやすい価格帯に落ち着いている。発売時に店頭で聞かれた「よくぞGOLDで出してくれた」という声には、共感する人も少なくないだろう。
そして扱いやすいケーブルに加え、電源ユニットとしての優れた信頼性が「Ion SFX」シリーズの価値を高めている。手のひらに収まるほどの小さな筐体となれば、当然ながら設計上の制約も大きい。しかしながら高品質コンポーネントの採用や最先端の設計思想により、ATX電源と比較しても何ら遜色のない性能と信頼性を実現。付属の変換ブラケットを使用し、優秀な“小さいATX電源”として使う選択肢も大いにアリだろう。
協力:Fractal Design
株式会社アスク