エルミタ的「編集部で使ってみた」
2020.01.06 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
ここからは簡単にグラフィックス関連のテストをチェックしていこう。まずは定番の3Dベンチマークソフト「3DMark」の「Sky Diver」の結果を確認していこう。
Radeon RX 570と比較すると、Graphics scoreは「GF-GT1030-E2GB/LP/D5」「RD-RX550-E2GB/OC」で約3分の1、「GF-GT710-E1GB/LP/P」では10分の1以下で、やはり3D性能ではゲーミング向けには歯が立たない。特に「GF-GT710-E1GB/LP/P」は、本来CPUの性能を測るはずであるPhysics scoreも約15%スコアが落ち込んでおり、かなり厳しい結果になった。
続いて比較的ライトなゲームベンチマークとして「ドラゴンクエストXベンチマーク」の結果も確認しておこう。グラフィック設定は「最高品質」、解像度は1,920×1,080ドット、表示方法は「ウィンドウ」を選択してテストを行っている。
「GF-GT710-E1GB/LP/P」はスコアが3,843、判定も「普通」と振るわずライトなゲームでもかなり厳しい。しかし「GF-GT1030-E2GB/LP/D5」と「RD-RX550-E2GB/OC」はいずれも15,000を上回るスコア、判定も「すごく快適」だった。さすがにRadeon RX 570との差は大きいものの、ライトなMMORPGやブラウザゲームであれば高画質な設定でも快適に遊ぶことができるだろう。
テストセッションのラストは消費電力で締めくくろう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時はベンチマークテストおよびテスト作業中の最高値をそれぞれ採用している。
今回検証した「GF-GT710-E1GB/LP/P」「GF-GT1030-E2GB/LP/D5」「RD-RX550-E2GB/OC」の3モデルについては、アイドル時や「ドラゴンクエストX」でやや「RD-RX550-E2GB/OC」が高めの数値だが、それ以外のテストではほぼ横並び。いずれも最高で250Wを超えることはなく、省電力性能は優秀だ。一方、Radeon RX 570は、アイドル時やCPU関連テストでも10W以上、グラフィックス系のテストでは20W~40W近くも高く、省電力性では明らかに劣る。
また「VLC media Player」では、「Direct3D11ビデオアクセラレーション」を有効にすると全ての環境で20W以上消費電力が低下しており、「動画再生支援機能」は高性能なCPUでも基本的に有効にしていたほうがいいだろう。
今回はエントリークラスの3種類のグラフィックスカードを使い、様々な環境を想定した検証をお届けしてきた。「GF-GT710-E1GB/LP/P」については、4K解像度で60Hz表示ができず、動画再生支援機能についてもコマ落ちが発生するなど、メインで使用するにはやや非力な印象。消費電力も「GF-GT1030-E2GB/LP/D5」と大きな違いがないことから、その価格を活かしディスプレイの増設などサブ的な使い方をするのがいいだろう。
一方、「GF-GT1030-E2GB/LP/D5」や「RD-RX550-E2GB/OC」については、ベーシックな作業やビジネスアプリケーションなら十分なパフォーマンスを発揮。さらに動画再生支援機能も優秀で、4Kの高解像度動画も低消費電力かつ滑らかに再生できた。性能的に大きな差がないため明確な使い分けは難しいが、敢えて言えば、省電力性や省スペースを重視するなら「GF-GT1030-E2GB/LP/D5」、コストパフォーマンスや動画視聴を重視するなら「RD-RX550-E2GB/OC」がオススメだ。
最新ゲームや、GPUへの最適化が進んでいるクリエイター系アプリケーションでは、グラフィックスカードはなるべく高性能なものを用意したほうがいい。しかし、それ以外の用途であれば、GeForce GT 1030やRadeon RX 550との性能差はごくわずか。一方で、ハイエンドグラフィックスカードには消費電力の増加や、サイズの大型化、補助電源コネクタによる配線の煩雑化といったデメリットもある。これから第3世代RyzenシリーズなどGPU非搭載のCPUでPCを組もうと思っているなら、今回の検証を参考に、自分の用途にあった無駄のないグラフィックスカードを選択して欲しい。
協力:玄人志向