エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.816
2020.01.08 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
電源ユニット、水冷ユニットを搭載したところで、もうひとつの基幹部品であるグラフィックスカードを搭載しよう。拡張カード有効スペースは、電源ユニットが奥行き160mm以下なら360mmまで。160mmを超えると270mmまでに制限される。以前ほど極端に長いグラフィックスカードは減っているようにも思えるが、有効スペース300mm以下となれば、やや身構えてしまう。
とは言え、搭載テストに用意したMSI「GeForce RTX 2080 VENTUS 8G OC」は、2.5スロット占有の大型カードで長さは268mm。十分ハイエンド志向の製品だが、スッポリと収める事ができている。このようにパーツ選びを上手に行えば、一般的なミドルタワーPCケースに匹敵するPCの構築が可能である事が分かる。
数値上空きスペースは僅か2mm。これだけタイトになる以上、おのずと電源ユニット→グラフィックスカードの順に搭載する事になる |
最後にストレージの搭載イメージをご覧頂こう。1箇所に集約したドライブベイは、マザーボードトレイ背面。3.5インチHDDが1台、または2.5インチSSDが2台搭載可能なトレイが、計2枚用意されている。ストレージタイプを問わず、搭載には専用トレイを一旦外し、底面からインチまたはミリネジでネジ留めを行う。
別段、モデル特有の仕掛けはないシンプルな機構だが、コネクタは専用トレイを取り外した状態で接続したほうがいいだろう。特に縦設置のSSDはコネクタが縦方向になり、ストロークが短いため抜き挿しが若干しにくかった。
ミニタワーサイズのボディにATX規格マザーボードを詰め込める「MasterBox Q500L」。同じコンセプトのPCケースは過去にも存在しているが、”無理な設計が何かを犠牲にしているのではないか”といった印象は拭えなかった。
確かに360mmサイズラジエターは設置できないし、高さ170mmクラスの大型CPUクーラーはサイドパネルにぶつかってしまう。電源ユニットとの兼ね合いで、グラフィックスカードは奥行き300mm超えは選択肢から外れ、ストレージ収納エリアは、裏配線スペースのみにしか与えられなかった。こうして並べてみると良い所ナシだが、実際に組み込んだ「MasterBox Q500L」は不思議と窮屈そうに見えない。
実は今回、個人的な興味から対応フォームファクタ(ATX、MicroATX、Mini-ITX)全3パターンの組み込みテストを行った。当初、内部をゆったりさせるならMini-ITXと考えたが、結果はかえって無駄な空間が目立った。次に最もバランス良く見えるMicroATXは、基板下部の空きスペースが思いのほか有効に活用できない。そして一番占有面積が広いATXは、各構成パーツとの距離感が絶妙で、最もシックリくる。やはりATX規格を中心に据え、最適化された設計である事を改めて知った。
税抜7,000円を切る市場想定売価の「MasterBox Q500L」は、ロングセラーになる可能性を大いに秘めている。久しぶりに自腹で1台購入してもいい製品だった。
協力:Cooler Master Technology Inc.