エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.817
2020.01.11 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
工場内を見学しつつ、「AORUS GAMING PC」の組み立てエリアに到着。いったいどのようにして組み立てが行われているのだろうか |
発表会で最初に藤田製作所の説明を受けた際は、どこか異業種の工場で組み立てられているかのようなイメージを持っていた。しかし同社はサーバー機器だけでも年間に数万台の製造実績があり、いわば“PC的なモノ”を組み立てることにかけては、一般的なBTOメーカーを圧倒する経験値を持っている。「AORUS GAMING PC」の組み立てには、そうしたノウハウがそのまま移植されているというワケだ。
そして製品を組み立てるにあたり、最も重視しているのが品質へのこだわり。熟練したスタッフが組み立てを手がけるのはもちろんだが、「誰が作業してもまったく同じ仕上がりになるように、管理を徹底している」という。
今回工場内を案内してくれた、株式会社藤田製作所・石井 由志夫氏。「AORUS GAMING PC」の組み立てにまつわる、並々ならぬこだわりを語ってくれた |
そのために、すべての工程が詳細に規定された作業手順書を用意。ネジ留めひとつをとっても、あらゆる箇所を最適なトルク値で固定するトルク管理が厳密に導入されている。同社にしてみれば「サーバーなどエンタープライズ向け製品の製造では当然のこと」というスタンスだが、そうした高水準の“当たり前”が随所で適用されているというワケだ。
ちなみに作業の均質化の観点から、CPUクーラーを組み込む際には、塗り方で差が出るグリスではなく熱伝導シートを採用。一般的なグリスに比べ優れた熱伝導率をもつ、50W/m・kのシートが導入されている。
「AORUS GAMING PC」の組み立ては、ラインではなくセル方式を採用。1ブースにつき、一人のスタッフが最後まで組み立てを行う |
ちょうど取材時には、ハイエンドモデル「AORUS GPC-01S」の組み立て作業の真っ最中だった | 「既製品ではどれも悪目立ちしてしまったため、自社で作ることにした」というグラフィックスカード用のステイ。何か必要になった際に、すぐ自社で調達できるのは強みだ |
「誰が作業しても同じ仕上がりにする」ために、詳細な作業手順書を用意。固定するネジも厳密にトルク管理がなされており、ネジごとに最適なトルク値に設定されたドライバーを使用する |
1台の組み立てにかかる時間は約1時間ほど。厳格な手順書を厳密に適用することで、早組みではなく出来上がりの品質を何より重視しているという |
「AORUS GAMING PC」が魅せるPCであるだけに、ケーブルの配線はこだわりのポイント。結束バンドの使用箇所も個別に指定されているほか、要所にタイベースを使用し、ケーブルを取り回している |
「他のラインに比べて明らかにコストが違う(笑)」と突っ込まれていた頑丈な作業台。肉厚のアルミ天板には静電気を防ぐマットが貼られているほか、スタッフは人体から静電気を逃がす装備を身に着けて作業する |
左側に置かれているのは、作業手順書のページめくりに使用するボタン。PC操作用の入力デバイスには、「AORUS」のゲーミングキーボード・マウスが接続されていた | そうこうしている内に、ガラスパネルを閉じて組み立ての工程は完了。この後は長時間のエイジング検査に持ち込まれ、不具合がないかじっくり検証が行われる |
そしてマシンが組み上がった後は、長時間のエイジング検査に回されることになる。検査にはウルトラエックス社のソフトウェアを使用し、診断ツール「PC Diagnostics UEFI」のチェックで問題がなければ、強力な負荷テストの「VR Stress Test」を実施。ゲーム中のアイドルタイムも想定し、断続的に強い負荷をかけることで、効果的に不具合をあぶり出すという。このテストは1台につき数時間に渡って行われる。
なお、組み立てを統括する石井氏によれば、組み立てる前の段階でクオリティの高いパーツが選別されているため、「不具合はかなり少ない」という。特に「マザーボードやグラフィックスカードに由来する不具合はほぼない」そうだ。このあたりは、キーパーツを高品位な「AORUS」シリーズに限定している「AORUS GAMING PC」ならではのメリットと言えそうだ。
UEFIチェックを済ませた後は、ウルトラエックス社の負荷テスト「VR Stress Test」で徹底的にマシンを“イジメて”いく。テストは1台ごとに5時間以上実施される |
すべての検査を済ませ、梱包された「AORUS GAMING PC」。あとは出荷を待つばかりだ |