エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.820
2020.01.24 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
テストセッションのラストは、PCI-Express4.0動作とPCI-Express3.0動作によるコントローラ温度の違いをチェックしていこう。検証はマザーボードにASRock「X570 Taichi」を使い、CPUをRyzen 5 3600とRyzen 7 2700に変えた状態で「CrystalDiskMark 7.0.0」を使ったストレステストを実施。マザーボードのヒートシンクを搭載した状態での温度推移を計測することにした。
最大転送速度が5,000MB/secを超えるPCI-Express4.0接続時は最高58℃まで上がるのに対して、転送速度が3,000MB/sec強に抑えられるPCI-Express3.0接続時は-5℃の最高53℃で頭打ち。またテスト中の温度上昇も緩やかで、コントローラへの負荷は確実に軽減されている。
PCI-Express3.0/アイドル時のサーモグラフィ結果 | PCI-Express3.0/高負荷時のサーモグラフィ結果 |
PCI-Express4.0/アイドル時のサーモグラフィ結果 | PCI-Express4.0/高負荷時のサーモグラフィ結果 |
またヒートシンクを外した状態で、サーモグラフィを確認したところアイドル時は約3℃、「CrystalDiskMark 7.0.0」(64GiB/5回)を実行した状態の最高温度も約6℃低下。「PG3VNF」シリーズを始めとしたPCI-Express4.0 SSDはいずれも発熱が多く、冷却には大型のヒートシンクが必要とされている。しかし、PCI-Express3.0接続で使用するなら、従来通りの冷却機構をそのまま流用できそうだ。
今回の撮って出しレビューでは、PCI-Express4.0対応の最速SSD「PG3VNF」シリーズを敢えてPCI-Express3.0環境を使い検証してきた。シーケンシャルアクセスでは、やはり帯域幅が不足するため読込・書込とも3,000MB/sec強で頭打ち。しかし、PCI-Express3.0 SSDのハイエンドモデルとの比較では同等以上の性能を発揮する。
またランダムアクセスでは帯域幅がボトルネックにならず、第2世代Ryzen環境でも公称値を上回る結果。そしてIntel LGA1151環境では読込・書込とも700,000IOPSを超える驚異のスコアを記録。接続方式に関わらず、コンシューマ向けNVMe M.2 SSDの中では、間違いなく最速な部類に入るだろう。
加えて東芝製「BiCS4」や大容量キャッシュの採用により、最高3,600TBWという高い書換耐性を実現している「PG3VNF」シリーズは、PCI-Express3.0接続のハイエンドSSDの代替としても大いに魅力的な製品だった。
協力:CFD販売株式会社