エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.824
2020.01.31 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
グラフィックスカードの搭載スペースは、強化ガラス製フロントパネルの裏手に割り当てられた。正面右下には標準装備品のライザーケーブルが固定されており、最大で長さ330mmまでのグラフィックスカードが搭載できるようになっている。マザーボードの拡張スロット直挿しを嫌ったのは、恐らくグラフィックスカードを収めるには、余計に横幅が必要になるからであろう。加えてフロントパネルにVGAクーラーが正対するスタイルは、「Striker」の魅せる設計思想にピッタリ合致する事は言うまでも無い。
ライザーケーブルは標準装備品。オプションで購入すると意外に高価だけに、標準装備は有り難い |
グラフィックスカード固定用のブラケットは丸で囲んだ部分のネジにより着脱が可能。さらに15mm間隔で3つのネジ穴があり、ポジションの変更にも対応できるようになっていた |
箱型PCケースに比べ、さすがにオープンフレーム型PCケースは風通しが良さそうだ。とは言え、まるでエアフローを気にしないPCは、どこか心許ない。そんなユーザーの声を想定してか、「Striker」では合計2箇所に冷却ファンの増設スペースを設けている。ただしその主な目的はラジエターの増設にある事は言うまでもない。個別に解説していこう。
まずリア部をよく見ると、左右にネジ穴を設けたブラケットが装備されている。ここには120mmファンを最大で2基増設が可能。筐体内でエアフローを構築し、構成パーツが発する熱を除去する役割を果たしてくれる。さらにオープンフレーム型PCケースの利点を生かし、RGB LED内蔵ファンでドレスアップすれば、視覚的にもダイレクトなイルミネーションを楽しめる。もちろん240mmサイズラジエターの設置も可能だ。
折り曲げ加工により形成された、120mmファン増設用ブラケットはリア部に装備。剥き出しの状態で冷却ファンが搭載できる |
もうひとつは、右サイドパネル側のメイントレイ後方。ちょうどマザーボードの裏手にあたる大きな開口部には、120mmファン増設用ネジ穴が2基分用意されている。ここは主に240mmサイズラジエターの設置スペースに想定されており、コアを通過した風が、マザーボードの背面に直接当たるようになる。Antecの製品サイトにも、構築例の画像が紹介されており、積極的活用が推奨されている。
大トレイの開口部には、120mmファン増設用ネジ穴が2基分確認できる。ハードチューブの取り回し等を考慮すると、CPUソケットに近いこのポジションは、まさにラジエターのために用意された場所だろう |
本稿冒頭でも触れた台湾におけるお披露目の際、展示サンプルには本格水冷が組み込まれていた。コンパクトなPCケースにハードチューブを駆使し、美しく構築された作例は、多くの自作派を魅了した。これを可能にしたのは、本格水冷を見越した内部設計にある。その象徴とも言えるのが、ポンプを設置する台座の存在。ストレージ搭載スペースとのトレードオフながら、ポンプおよびリザーバーを搭載するための仕掛けをご紹介しよう。
標準装備される2.5インチSSDトレイのすぐ真下。ここには50mm間隔で正方形のネジ穴が用意された、ポンプ設置用台座を用意 |
得意もあれば不得意もある。「Striker」にとって前者は多彩な内部設計だが、後者はストレージの収納力だろう。ポンプ設置用台座の上に装備されている2.5インチSSDトレイは、唯一のストレージ搭載スペースになる。コの字型のトレイ(ブラケット)は、2.5インチSSDを積み重ねるように2台が搭載可能。トレイ自体は上部にスライドするだけで簡単に取り外しができ、右サイドパネル側のメイントレイに移設ができる。
左サイドパネル側、ポンプ設置用台座の上部に装備されている2.5インチSSDトレイ |
スチール製トレイは背面に4本のネジとゴムブッシュが装着済み。ツールフリー固定式を採用し、反対の面に移設も可能。ポンプおよびリザーバーを設置する場合は裏手に引っ越せばいい |
電源ユニットは下部に搭載スペースを設けた。対応規格はATXまたはSFXで、設置面(底面)は冷却ファンの吸気用にカットされている。なお有効スペースは、奥行き160mmまでとされており、ハイエンド志向の電源ユニットには少々窮屈かもしれない。
PSUカバー(シュラウド)を外すとあらわになる電源ユニット搭載スペース |
電源ユニットの冷却ファンと向かい合わせになる設置面は大きくカット。床面との隙間も十分確保できている |
有効スペースは公称で奥行き160mmまで。イマドキ十分とは言い難いが、Mini-ITX対応ケースである事を思えば贅沢は言えない |