エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.827
2020.02.07 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
AMD「Ryzen Threadripper 3990X」 市場想定売価税抜449,800円(2月8日11時国内発売開始) 製品情報(日本AMD株式会社) |
AMDの最新コアアーキテクチャ「Zen 2」世代の最後の大物、「Ryzen Threadripper 3990X」の国内発売が2月8日(土)11時より遂に解禁される。
CES 2020で初披露されたRyzen Threadripper 3990Xのダイ画像。計9つのチップで構成されるチップレット方式を採用する |
これまでAMDの「HEDT」(High End Desktop :ハイエンドデスクトップ)CPUであるRyzen Threadripperは、初代のRyzen Threadripper 1950X(16コア/32スレッド)、第2世代のRyzen Threadripper 2990WX(32コア/64スレッド)と、世代が変わるごとにコア数を2倍に拡張してきた。この流れは第3世代であるRyzen Threadripper 3990Xでも継承され、コンシューマ向けCPUでは世界最高となる64コア/128スレッドの圧倒的なメニーコア構成を実現しているのが最大の特徴だ。
Xeon W-3275や、Ryzen Threadripper 3970Xはもちろん、CPUだけで20,000ドルを超える56コア/112スレッドのデュアルXeon Platinum 8280構成よりも高速とのこと |
基本的な内部設計は、すでに登場しているRyzen Threadripper 3960X/3970Xから変わらず、中心となるI/Oダイ「cIOD」に、CPUダイである「CCD」を「Infinity Fabric」で接続する「チップレット」方式を採用する。ただし、「CCD」数をこれまでの4基から8基へ拡張。これにより、コア数だけでなく、L2キャッシュやL3キャッシュも倍増され、まさにモンスターと呼ぶのにふさわしいCPUへと仕上げられている。
Ryzen Threadripper 3990Xでは、メモリコントローラやPCI-Express4.0を備えたI/Oダイ「cIOD」に、8つの「CCD」が「Infinity Fabric」で接続されている |
このように大幅なスペックアップが図られているにも関わらず、TDPは280Wのまま据え置かれ、冷却システムについてはそのまま流用可能。しかし、その分クロックは控えめで、ベースクロックはRyzen Threadripper 3970Xの3.70GHzから2.90GHz、最大ブーストクロックは4.50GHzから4.30GHzへと抑えられている。これが実際のパフォーマンスにどの程度影響があるのかは、後半のテストセッションでじっくりと確認していこう。
その他スペックに違いはなく、メモリはクアッドチャネル対応のDDR4-3200、PCI-Express4.0はプラットフォーム全体で88レーン(CPU72/チップセット16)を備え、ソケットはSocket sTRX4、チップセットはAMD TRX40に対応。もちろんすでに発売されているマザーボードでも、BIOSをアップデートするだけで利用することができる。
第3世代Ryzen Threadripperでは「WX」の型番が廃止。すべてクリエイター向けという位置付けで、型番は「X」で統一されている |
なお第2世代Ryzen Threadripperでは、クリエイター向け「WX」とゲーマー向け「X」の2シリーズが展開されていたが、第3世代Ryzen 9がゲーマー向けメニーコアに位置づけられたため、第3世代Ryzen Threadripperは完全にクリエイターがターゲットのCPUになった。それに伴い「WX」シリーズは廃止され、3モデルとも「X」シリーズで統一されている。