エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.828
2020.02.10 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
続いて、実際のゲームに即したベンチマークソフトでのチェックを実施していこう。人気のMMO RPGの最新アップデート版「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークテストでは、描画品質を“最高品質”に設定し、1,920×1,080ドットでの計測を実施した。
このベンチマークでは実行できる解像度の最大値が液晶ディスプレイの解像度に依存するため、1パターンのみの計測となったが、評価は最高の「非常に快適」を達成。平均フレームレートは65fpsで、しっかり60fpsを超えてきているため、最高画質のプレイを満喫できそうだ。「Alpha 15」のディスプレイは120Hzまで対応するため、よりなめらかな画面でプレイしたい場合は画質を調整するといい。
より重量級の「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」ではどうだろうか。描画品質は“高画質”で、解像度は1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類で計測している。
DirectX 12対応、現行トップクラスを誇る重量級ベンチマークだけあって、フルHD解像度のスコアは3,693で、快適度判定は「普通」。プレイできないレベルではないが、平均フレームレートが60fpsを確実に下回るため、実際のプレイでは画質を調整するのが無難だろう。WQHDテストではスコア2,793で快適度が「やや重い」、4Kテストではスコア1,396で快適度が「動作困難」となり、プレイは非常に厳しい印象だ。
実ゲームでもフレームレートを確認しておこう。まず使用するタイトルは「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」で、解像度はディスプレイの最大解像度である1,920×1,080ドットに固定し、画質プリセットは“ウルトラ”、“高”、“中”の3パターンで検証を実施。マップ「Erangel」のリプレイ再生時の1分間のフレームレートを「Fraps」で計測した。
最高プリセットである“ウルトラ”でも平均フレームレートは60fpsを超えており、より低画質のプリセットを適用していくことでさらにフレームレートが安定する。プリセット“中”では平均80fps、最小60fpsとかなりバランスの良い結果が出ているが、本製品が120Hzのディスプレイを搭載していることを考えれば、この設定を目安にしてゲームをプレイするのが良さそうだ。幸い、本作は画質よりも勝利が求められる競技性の高いタイトルなので、低い画質でもプレイフィールは大きく変わらない。なお、Gaming Mode有効時と無効時では、フレームレートに差異がほとんど見られなかった。モニタリング状況を見る限り、挙動は変わっているようなのだが、もともとのポテンシャルもあり、スコアに反映されるほどのパフォーマンスアップは得られないようだ。
同じく競技系のタイトルである「CS:GO」でも結果を見てみたい。解像度は1,920×1,080ドットに固定し、画質はもっとも重くなるように設定。マップ「Dust 2」の一定コースを移動する際の1分間のフレームレートを「Fraps」で計測した。
もともとが軽量なタイトルなので、平均フレームレートが100fpsを超える優秀な結果が出ている。最小フレームレートも余裕で60fpsを超えているため、ハイリフレッシュレートディスプレイの恩恵を大きく受けられるタイトルと言っていいだろう。とはいえ、Gaming Modeの有効時と無効時の結果はこちらのタイトルでも大きく変わらなかった。
セッションの最後に、システムの消費電力をチェックしておこう。テスト方法は、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として採用し、計測はワットチェッカーで行っている。
この手のノートPCではアイドル時の消費電力が30Wを超えることも珍しくないが、「Alpha 15」は約25Wに納まった。高負荷時の最大値は161Wで、こちらは一般的なゲーミングノートPCの水準といったところ。電力消費について、特別懸念となるポイントはなさそうだ。
「Alpha 15」は、CPUに「Ryzen 7 3750H」、GPUに「Radeon RX 5500M」を採用することで、フルHD解像度のゲーミングにフォーカスしたノートPCだ。筆者自身、CPUとGPUをAMDで揃えたノートPCを試すのは初めてだったが、ベンチマークテストで垣間見られた性能は期待以上のものがあった。現状では市場を席巻している、CPUにIntel、GPUにNVIDIAという組み合わせのゲーミングノートPCと比べても、ソフト・ハード両面で見劣りはしないし、特に違和感もなく扱える。AMDとMSIからは、すでに第3世代のRyzen Mobileを搭載したノートPCの年内投入が予告されているが、今後のラインナップ増加により、こうしたAMD搭載ノートPCのプレゼンスも向上していくだろう。
また、CPUとGPU以外に目を向けても、NVMeストレージの性能の優秀さ、FreeSyncのようなディスプレイ同期機能が利用できる、必要な機能やユーティリティはしっかり揃っているなど、持ち運びに向かない以外は取り立てて弱点がない。フルHD解像度でゲームごとに画質の調整をしつつ、カジュアルにゲームを楽しむユーザー、あるいは「CS:GO」のような負荷が軽めのタイトルを熱を入れてプレイしたいユーザーにおすすめだ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社