エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.829
2020.02.13 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
続いては、同様にバトルロイヤル系の人気タイトル「フォートナイト」をプレイ。グラフィックスクオリティを“最高”に設定し、1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの解像度におけるフレームレートを計測した。
さすがに軽量なタイトルとあって、Radeon RX 5700グラフィックスカードの性能であれば、どの解像度でも十分に快適なプレイが見込める。フルHDではフレームレートがやや頭打ちになっている印象で、WQHD解像度以上でも変わらないプレイ感覚を維持できそうだ。
「RX5700 ITX 8GB GDDR6」はショート基板に合わせたサイズのシングルファンクーラーを搭載しているが、はたして満足できる冷却性能を備えているだろうか。「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を動作させた際を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時に設定し、「HWmonitor」による計測を行った。
アイドル時は「ミュートファンテクノロジー」によりファンが停止するため、回転数は0rpm。それでもGPU温度は50℃に留まっており、セミファンレス機能による不安はない。高負荷時はファンが75%ほどの稼働率で回転、GPU温度も66℃の理想的な水準を維持していた。稼働率をみるにオーバークロックには向かなそうだが、切り詰められたサイズのクーラーとしては、十二分に任務を果たしていると言える。
最後に「RX5700 ITX 8GB GDDR6」の動作中における消費電力を振り返り、テストセッションを締めくくろう。先ほど同様に「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を動作させた際を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として、ワットチェッカーを使用して計測を行った。
アイドル時の消費電力がやや高めな点は気になるが、TDP105WのRyzen 9 3900Xを組み合わせた高負荷時の318Wは、十分に許容範囲内と言える。基本的に650Wクラスの電源ユニットをチョイスすれば、変換効率の観点からも理想的だ。
「日本のスモールPCユーザーに向けて企画された」というコンセプト通り、「RX5700 ITX 8GB GDDR6」は“小型で高性能”という日本人の好みにマッチしたグラフィックスカードだ。主要タイトルを1,440p解像度で、なおかつリッチな設定で遊ぶことができるパフォーマンスは、他の大型モデルと同等。性能を犠牲にせず全長175mmに収めた、Radeon RX 5700グラフィックスカードの秀作と言える。スモールフォームファクタ環境でもパワーが欲しい、という向きにピタリとハマる1枚だ。
もちろん性能だけでなく、冷却能力にも不安はない。基板と同じ長さに揃えられたオリジナルのシングルファンクーラーは、高負荷時でもRadeon RX 5700を十分に冷やしきる能力を備えている。小型筐体に詰め込んだ場合でも、冷却面が足を引っ張ることはないだろう。
同クラスではやや高めの価格設定がなされている「RX5700 ITX 8GB GDDR6」だが、Radeon RX 5700初のショート基板モデルという価値はそれ以上。スモールPCユーザーの期待の星として、一定の地位を築くことができそうだ。
協力:株式会社アユート
PowerColor(TUL Corporation)