エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.838
2020.03.05 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
次にグラフィックスカードを搭載してみよう。おさらいすると、拡張カードの有効スペースは、ストレージレイアウトで359mm。またオープンレイアウトで冷却ファン搭載時は524mm、冷却ファン無しで549mm、さらにグラフィックスカードの幅は150mmまで(オープンレイアウト時)とされる。
搭載テストにはMSI「GeForce RTX 2080 Ti GAMING X TRIO」をチョイス。基板幅は140mm、長さは327mm(厚さ55.6mm)で、搭載後は十分に空きスペースが確保できている |
オプションのライザーケーブル「Flex VRC-25」(型番:FD-ACC-FLEX-VRC-25-BK)を用意すれば、グラフィックスカードの垂直マウントにも対応。とは言え残念ながら検証機は左側面がソリッドパネルだった |
ここまでの検証からストレージ収納力が強みである事が分かった。そこで多彩な搭載スペースを振り返りながら、実際に各種ドライブを搭載してみよう。なお検証スタイルは「オープンレイアウト」のままで、オプションパーツも合わせてご紹介する。
5.25インチオープンベイを使用するには、まず枠部分を「5.25 Bracket」に付け替える。光学ドライブは左右両側面の前方各2本のネジで固定。未使用の下段部分は「5.25 Blank」で塞いでおこう。なお作業には「Vertical Wall and Cover」のABS樹脂製カバーを外す必要があるため、一旦フロントファンも外さなければならない |
2.5インチ専用トレイに2台並べてSSDを搭載。トレイへのSSD固定は背面から4本のネジ留め式。付属のMounting Screw (M3)を使用する |
ケージタイプの2.5/3.5インチ共用シャドウベイに3.5インチHDDと2.5インチSSDを各2台マウント。HDD搭載には付属の「HDD Dampener」と「3.5” Drive Screw」を使用する |
オプションの「SSD tray kit-Type B-Black」(型番:FD-A-BRKT-001)で、ボトムカバー(シュラウド)天板に3台の2.5インチSSDをマウント。コネクタをマザーボード側のスルーホールに向けて固定しよう |
マルチブラケットに2.5インチSSDと3.5インチHDDをそれぞれ固定してみた | マルチブラケットはボトムカバー(シュラウド)前方にあるインレー上に移設が可能。ポンプだけでなく、SSDまたはHDDも固定ができる |
オプションの「Multi-bracket-Black」(型番:FD-A-BRKT-003)を、トップ部の冷却ファン用ステイに固定すれば、ストレージ収納力がさらに向上。ラジエターや冷却ファンよりもストレージを優先したいユーザー向けの仕掛け。余ったHDDの活用にもオススメだ |
最後に高い拡張性を最大限に生かした構成例をご紹介しよう。レイアウトの変更や広い内部容積から、さまざまな運用方法が提案されている「Define 7 XL」。購入を検討している人にとって、大いに参考になるはずだ。
Double Processor Build |
Water Reservoir Bulid |
Double Optical Drive Build |
Server Build |
同時にリリースされた「Define 7」検証から間髪入れず、フルタワー「Define 7 XL」をいじり倒した。多少のスペックに違いはあるものの、血統が同じサイズ違いのPCケース。正直な所、立て続けに検証するやりにくさを懸念していたが、作業を進めるうちに思いの外”別物”である事が分かってくる。もちろん基本設計や構造に違いはないが、スケールの大きさはやはり有利。構成パーツの選定の制限が緩くなり、圧倒的に選択肢の幅が広くなる。
とかく大型PCケースは大味な所がある。従来型サーバー向けPCケースは、質実剛健が大前提で、拡張性だけにこだわった無骨なモデルが多い。機能面をクリアしていればそれで良しだが、エルミタの読者ならデザイン性にもこだわりたいだろう。その点、「Define 7」を大型化した「Define 7 XL」は、外観だけでなく、内部構造も申し分ない。さらに豊富なオプションパーツにより、他を圧倒するストレージ収納力はモデル最大の強みだろう。多少高額だが、売価だけでは推し量れない緻密な設計と、冷却にも有利な内部スペースは大いなる魅力だ。
モデル名から「R」が消え、新しいスタートを切った「Define」シリーズ。自作PC市場に与えるインパクトは決して小さくないはずだ。
協力:Fractal Design
株式会社アスク