エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.853
2020.04.14 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
テストセッションのラストは1TBモデルの「CSSD-M2M1TEG1VNE」を使い、SSDの温度をチェックしていこう。なお負荷テストには「CrystalDiskMark 7.0.0」を使い、データサイズはパフォーマンスの落ち込みがなかった最大のデータサイズである16GiBを、テスト回数は9回を選択し、3回連続で実施。その温度と転送速度の推移を「HWiNFO64」で測定した。
これまでのNVMe M.2 SSDは、高性能な分発熱が大きく、別途ヒートシンクが必要だった。しかし、「EG1VNE」シリーズに実装される「PS5012-E12S」では、熱対策による放熱用のメタルプレートの効果もあり、ヒートシンクのない状態でも温度は70℃までしか上がらなかった。サーマルスロットリングと思われる症状も、読込で1回、書込で3回しか発生しておらず、これまでの製品に比べてかなり扱いやすくなっている。
さらにASRock「Z390 Extreme 4」のヒートシンクを使うと、最高温度は15℃以上低下し、サーマルスロットリングが完全に解消。「EG1VNE」シリーズなら、かなり簡易的なヒートシンクでも十分にその発熱を抑え込むことができるだろう。
ヒートシンクなし/アイドル時のサーモグラフィ結果 | ヒートシンクなし/高負荷時のサーモグラフィ結果 |
ヒートシンクあり/アイドル時のサーモグラフィ結果 | ヒートシンクあり/高負荷時のサーモグラフィ結果 |
またサーモグラフィの結果を確認すると、コントローラ付近の最高温度は83.2℃で頭打ち。100℃以上を計測するコントローラも多いことを考慮すると、Phisonの第2世代コントローラ「PS5012-E12S」は、チップ自体の発熱もかなり抑えられているようだ。
QLC NANDを採用することで、同容量では最廉価帯の低価格を実現したCFD「EG1VNE」シリーズ。しかし、高性能なコントローラやDRAMキャッシュのおかげもあり、パフォーマンスは良好。特に1TBモデルなら、圧縮率の低いデータでもシーケンシャル読込最高3,400MB/sec、ランダムアクセスは400,000 IOPSを上回り、PCI-Express3.0(x4)接続のハイエンドモデルとも十分に渡り合うことができる性能を発揮する。
さらにコントローラの発熱が大幅に低減されているのも、これまでのNVMe M.2 SSDにはない大きなメリット。ヒートシンクのないエントリークラスのマザーボードや、DeskMiniシリーズといった省スペースPC(ベアボーンキット)でもパフォーマンスの低下を気にすることなく使用することができる。
確かにTLC NANDモデルに比べると“書込耐性が低い”こと。また“キャッシュが溢れた場合のパフォーマンスの低下が大きい”といった、QLC NANDフラッシュ共通の欠点はある。しかし、いずれも影響が大きいのはヘビーユース。この製品がターゲットにしている一般的な運用であれば大きな問題にならないだろう。これまでSATA3.0(6Gbps)SSDを使っていたユーザーはもちろん、500GBクラスの製品が最大容量だった初期のNVMe M.2 SSDを使用しているユーザーのアップグレードパスとしてもオススメだ。
協力:CFD販売株式会社