エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.863
2020.05.05 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
AMD「Ryzen 5 1600 AF」 市場想定売価税抜9,980円(2020年5月16日発売) 製品情報(日本AMD株式会社) |
そもそも第1世代の「Ryzen 5 1600」が市場に投入されたのは、今からおよそ3年前となる2017年4月11日のこと。その1年後には早くも第2世代Ryzenがリリースされ、さらに2019年7月には第3世代Ryzenが登場している。今回取り扱う「Ryzen 5 1600 AF」は、命名規則からすれば2世代前のCPUということになるが、興味深いのは、本製品が本来第1世代Ryzenに使われていた14nmプロセスの「Zen」コアではなく、12nmの第2世代アーキテクチャ「Zen+」を採用していることだ。
AMDの公式サイトには「Ryzen 5 1600 AF」のページが存在しないものの、「Ryzen 5 1600」のページには製品が切り替わったことを示す記述が追加されている |
「Ryzen 5 1600 AF」のスペックを見ると、6コア/12スレッドの構成やキャッシュ容量、TDP65Wである点などは「Ryzen 5 1600」と変わらない。ベースクロック3.2GHz、ブーストクロック最大3.6GHzという動作周波数も同じだ。一方Zen+の製品ということで、メモリのサポートがDDR4-2666からDDR4-2933に変更されている。そもそもアーキテクチャからして違うため、どちらかと言えば、第2世代の「Ryzen 5 2600」のクロックを少し落としたマイナーチェンジモデル、という位置づけと理解するほうが正確だろう(「Ryzen 5 2600」のベースクロックは3.4GHz、ブーストクロックは3.9GHz)。
そのように若干ややこしい特徴を備える「Ryzen 5 1600 AF」だが、注目すべきはその価格だ。前提として、「Ryzen 5 1600」はグローバル市場での希望小売価格が220ドル、「Ryzen 5 2600」は200ドルに設定されていた(いずれも発表当初の価格)。どちらも日本円にして20,000円を上回るわけだが、「Ryzen 5 1600 AF」の希望小売価格はなんとその2分の1以下の85ドル。世代的には古いモデルとはいえ、6コア/12スレッドのCPUがおおよそ10,000円ほどで購入できると考えれば、コストパフォーマンスを重視するユーザーならずとも魅力的に感じる人は多いのではないだろうか。
あくまで「Ryzen 5 1600」が更新されたという扱いなので、パッケージ上部のシールは「Ryzen 5 1600」のまま。ただし製品型番が異なる |
CPUクーラーは第2世代の「Ryzen 5 2600」を踏襲した「Wraith Stealth」が同梱されるほか(「Ryzen 5 1600」では「Wraith Spire」が同梱されていた)、X570チップセットやB450チップセットの現行マザーボードでも、BIOSアップデートの必要なく動作する。第1世代の「Ryzen 5 1600」はすでに流通在庫限りとなっているものの、BOXに記載されたモデル名は新旧どちらも「Ryzen 5 1600」となるため、購入の際は間違えないように注意したい。見分け方は製品型番が「YD1600BBAEBOX」となっているものが旧モデル、「YD1600BBAFBOX」が最新の「Ryzen 5 1600 AF」だ。