エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.872
2020.05.22 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ここからはCore i9-10900Kのオーバークロックを試していこう。今回はCPUや冷却システムを判別して自動的にチューニングを行う「AI Overclocking」と、「UEFI BIOS Utility」からコア倍率とコア電圧のみを調整する簡易的な手動チューニングの2種類の方法を試してみることにした。
「AI Overclocking」によるオーバークロックは「AI Suite 3」から「AI Overclocking」をクリックするだけ。自動的に再起動がかかり、システムに最適なチューニングが施される |
シングルスレッド時(画像左)は定格と同じ最高5.30GHz、マルチスレッド時は定格+100MHzの5.00GHz動作に変更された |
「AI Overclocking」によるオーバークロックでは、アクティブコアが3コアまでは最高5.30GHz、5コアまでは最高5.10GHz、それ以上は最高5.00GHzで動作するように自動的に設定。基本的にシングルスレッド処理については定格と同じ、マルチスレッド処理については+100MHzクロックが上昇している。
「UEFI BIOS Utility」では、全コア5.20GHz、コア電圧1.425Vまでは安定動作が可能 |
シングルスレッド、マルチスレッドとも5.20GHzで動作。サーマルスロットリングによるクロックの低下もなく、30分間のストレステストもクリアできた |
手動オーバークロックは、全コア5.40GHzまではOSの起動が可能。ただし、「CINEBENCH R20」が完走できなかったため、クロックと電圧を調整したところ全コア5.20GHz、コア電圧1.425Vの設定で「CINEBENCH R20」が安定動作。さらに「OCCT 5.5.7」による30分間のストレステストも無事クリアすることができた。
次にオーバークロックの効果と、その際の消費電力を確認していこう。なおベンチマークソフトは「CINEBENCH R15」と「CINEBENCH R20」を使用し、アイドル時の消費電力は起動直後10分間放置した際の最低値、高負荷時はいずれも消費電力が高かった「CINEBENCH R20」実行中の最高値を採用している。
「CINEBENCH R15」のマルチコアテストは、5.20GHz駆動の手動オーバークロックで約6%、最高5.10GHz駆動になる「AI Overclocking」で約2%スコアが向上し、ほぼクロック通りの結果。またシングルコアテストは、「AI Overclocking」では定格と同じ最高5.30GHz駆動になるためほぼ同等。しかし、手動オーバークロックでは5.20GHzで固定されているため約2%低くなった。
「CINEBENCH R20」でもスコアの傾向は「CINEBENCH R15」と同じ。マルチコアテストは手動オーバークロックが良好な一方、シングルコアテストのスコアはやや落ち込んでいる。どの手法でオーバークロックを行うかは、使用するアプリケーションやゲームによって決めるといいだろう。
また消費電力を確認すると、高負荷時は「AI Overclocking」で約60W、手動オーバークロックでは80Wと大幅に増加した。今回は常用を前提にした比較的ライトなチューニングだが、TDPが125Wに変更されたCore i9-10900Kのオーバークロックは、電源回路への負担がかなり大きい。常用を検討しているなら、「ROG STRIX Z490-F GAMING」のような堅牢な電源回路を備えるマザーボードは必須条件になる。