エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.876
2020.06.03 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
最終セッションでは、実際に組み込み作業を行ってみよう。これまで2月から3月にかけて「Define 7 XL」「Define 7」の検証を立て続けに行ったワケだが、兄弟モデルとの違いや、小型化された事によるメリットやデメリットを見つけていきたい。
まずはマザーボードを搭載してみよう。用意したのは最も選択されるであろうATX規格のマザーボードで、予め装着されている9本のスタンドオフ(うち1本はピンタイプ)に、付属の「MB Screw」でネジ留めを行う。
搭載を試みたところで周辺のクリアランスをチェックすると、マザーボードから天板までは約30mm、右方向の標準搭載ファンまでは約95mmとそれぞれ確保。ただしボトムカバーまでの下部はほぼ空きスペースが無かった。もし2.5インチ専用トレイをボトムカバー天板に移設する場合は、マザーボード下部に並ぶピンヘッダとの干渉に注意したい。
搭載テストには「Define 7 XL」レビュー同様、MSI「MPG X570 GAMING PRO CARBON WIFI」を使用。さすがに”コンパクト感”は否めないものの、極端に窮屈といった事もなかった |
そもそもコンパクトとはいえ、あくまで”「Define 7」シリーズ中のコンパクト”であって、一般的なミドルタワーPCケースとしてみれば、決して小型筐体ではない。これはCPUクーラーの有効スペースからも明らかで、公称高さ169mmは140mmファンを搭載する大型サイドフロー型CPUクーラーも選択できるだろう。
実際に有効スペースを計測するにあたり、手持ちのレーザー距離計を使用。レーザーが透過しないよう、強化ガラス製サイドパネルにはマーカーを貼り付け、CPUから真上の空間をチェックすると、ピッタリ169mmを示した。
マザーボードトレイ背面から、CPUクーラーメンテナンスホールのサイズも計測。幅約155mm、高さ約140mmで、開口部は十分に確保できている事が分かる |
次に電源ユニットを搭載してみよう。多くのミドルタワーPCケースがそうであるように、ボトムカバー内後方に収納スペースが設けられており、右側面の開口部からではなく、リアから押し込む格好でインストールを行う。
外枠に電源ユニットをネジ留めする固定方法は、特に組み込み後の拡張時に極めて優れた利便性を発揮する。限られたスペースで、モジュラータイプのコネクタの抜き挿しは容易ではなく、作業は困難を極める。一方で、外枠固定式であれば、2本のハンドスクリューを緩め、本体を手前にスライドさせるだけで抜き挿しの空間が確保できる。
搭載テストには以前詳細検証を行ったFractal Design「ION+ 860P」を用意。フルモジュラータイプで、奥行きは150mmに収められている |
ボトムカバー内にはケージタイプのシャドウベイがあり、出荷時の状態では両者間に約70mmの空間が確保できている。電源ユニットを固定したままでも、コネクタの抜き挿しはどうにかできる範囲だ。ただし、構成パーツが複数になると、接続するコネクタの数も増える。たちまちケーブルの始末に苦慮する事になるが、その場合ケージタイプのシャドウベイを前方へ移動するという手がある。
最も前寄りにスライドした場合、空きスペースは100mmにまで拡大。電源ユニットにとっては有利だが、トレードオフとしてフロント部にラジエターの搭載および、下段に冷却ファンの増設ができなくなってしまう事を覚えておこう。