エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.878
2020.06.09 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
一通り外観をチェックしたところで、「Z490GTN」の性能検証に移ろう。テスト用PCは、CPUに10コア/20スレッドの「Core i9-10900K」、GPUはAMDの「Radeon RX 5700」を使用。CPUクーラーはThermaltakeの360mmラジエーター搭載オールインワン水冷「CL-W234-PL12SW-A」とした。なお、検証時のUEFIバージョンは原稿執筆時のタイミングで最新の「Z49AI408」だ。
「CPU-Z 1.92.0」で「Core i9-10900K」の情報を取得。動作クロックは「Intel Turbo Boost Max Technology 3.0」および「Intel Thermal Velocity Boost」有効時の最大となる5.3GHzを記録できていた |
並行して計測に使用したタクスマネージャーや「INTEL Extreme Tuning Utility」でも、5.3GHz近い動作クロックが表示されているのを確認 |
さっそく、CPUを定格動作させた場合と、簡易的なオーバークロック時の性能、温度、消費電力を見ていこう。ベンチマークテストは「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」「3DMark」の3種類で、オーバークロック設定はベンチマーク動作時の温度が90℃を超えなかった全コア動作時5.1GHzの設定を採用した。なお「Z490GTN」の場合、出荷状態ではPower Limitが定格となる125Wに設定されていたが、そのままではオーバークロック時のスコアが伸びないため、OC設定時にはこれを無制限に変更している。
「CINEBENCH R15」のマルチコアテストのスコアは、定格時が2,616cb、OC時が2,702cbで、動作クロックが200MHzほど高いOC時のほうが100cbほどスコアが伸びている。CINEBENCH R20でも、定格時が6,322pts、OC時が6,508ptsと、オーバークロックによるスコアの伸びが見て取れる。Mini-ITXマザーボードであっても、この程度のオーバークロックであればスコアを伸ばすことは可能と言ってよさそうだ。とはいえ、実際に小型のシステムでは冷却がおろそかになりがちでもあるため、その点は注意が必要だろう。なお、シングルコアテストは定格でも最大5.3GHz近くまでクロックが上昇するため、いずれもスコアに大きな違いはでなかった。
ベンチマーク中の温度も確認してみよう。「CINEBENCH R20」を3回連続で実行した際の温度を「HWiNFO 64」でモニタリングしてグラフ化したが、定格時の最大温度は70℃前後、オーバークロック時の温度は最大85℃前後。OC後は温度が約15℃ほど上昇する点に気をつける必要がある。また、定格時は2回目以降は動作クロックが落ちてしまい、電力制限を外したOC時には3回目のターンでやや不安定な結果が出ている。ハイエンドCPUを使う場合、瞬間的には問題ないが、継続的に高い負荷をかけるのはあまりオススメできない。
参考までに、ベンチマーク中の各部の温度をサーモグラフィで確認してみた。VRMヒートシンクは45℃前後、チップセットヒートシンクは55℃前後まで温度が上昇しているが、問題ない範囲だろう。とはいえ、継続的な負荷やPCケースに組み込んだ際のエアフローには注意する必要がある |