エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.881
2020.06.20 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
定格クロックでのテスト結果を受け、PL2動作時のような負荷が続いた場合はどうなるか、オーバークロックを施して試してみることにした。PL2動作時は4.8GHzほどで動作していたワケだが、UEFIの「AI Overclocking」項目にアクセスし、クロックを全コア5.1GHzに設定。+300MHzのクロック上昇に加えて、PL1に移行することなく動作した状況での冷却パフォーマンスを見ていこう。
UEFI設定から、軽めのチューニングを実行。全コアが5.1GHzで動作するように設定し、ストレステストで検証してみよう |
PL2動作時より発熱面で厳しさが増している状況ながら、ほとんどのシーンでCPU温度が75~80℃の範囲に収まっている。ちなみにシステム全体の消費電力は、定格クロックが最大385W(PL2時)でオーバークロック時が最大428W。消費電力が40W以上も増加しているにも関わらず、CPU温度の上昇は許容範囲内に留まった。
そしてファン回転数も合わせてチェックしてみると、一部を除きほぼ2,000rpm以下に収まるという、印象的な結果に。まだ最大回転数には余裕があり、さらなるオーバークロックも十分可能だろう。
すでに発売からだいぶ間が空いていることもあり、「SST-PF360-ARGB」は、特段Core i9-10900Kの登場を見越して設計されたというわけではない。しかしさすがはオールインワン型水冷ユニットの黎明期から製品を手がけてきたSilverStone、そのフラッグシップクーラーは、十二分に新世代CPUを冷やし切る性能を備えていた。
最大250Wの消費電力を許容するPL2時においても、ほぼ70℃未満に抑え込む実力は、同様の360mmラジエター水冷と比べても抜きん出たものだ。オーバークロック動作にも対応できる余裕があり、「SST-PF360-ARGB」がCore i9-10900Kのポテンシャルを引き出すための、有力な選択肢であることは間違いない。
市場を見渡せば、いまやオールインワン型水冷ユニットは戦国時代の様相。アドレサブルRGB対応も珍しい機能ではなく、その中にあって、分かりやすいギミックのない「SST-PF360-ARGB」は、多少地味な印象を受けるかもしれない。
しかし冷熱分離の冷却エンジンや、自動車クラスのポンプ・ラジエターを組み合わせた性能はトップクラス。さらに組み込みやすいマウント方法や単独発光可能なRGBコントローラの同梱など、意外にも全方位で隙がない。大型ラジエター水冷が初めてというユーザーにもオススメしたい製品だ。
協力:テックウインド株式会社
SilverStone Technology