エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.886
2020.07.06 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
さっそく、CPUを定格動作させた場合と、簡易的なオーバークロック時の性能や消費電力を見ていこう。ベンチマークテストは「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」「3DMark」「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の4種類で、オーバークロック設定は倍率と電圧のみを変更し、全コア動作時4.4GHzの設定を採用した。
オーバークロック設定は、動作電圧を1.4V前後に昇圧し、全コア4.4GHzで動作させている。簡易的な設定ではあるが非常に安定しており、起動からベンチマークまで、不具合が起きることはなかった |
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「CINEBENCH R15」のマルチスレッドテストのスコアは、定格時が2,092cb、OC時が2,266cbで、動作クロックが高いOC時のほうが約200cbほどスコアが伸びている。CINEBENCH R20でも、定格時が4,747pts、OC時が5,260ptsと、オーバークロックによりスコアが上昇しているのが分かるだろう。「AMD B550」チップセットでも特に問題なくオーバークロック機能が利用できるため、(あくまで自己責任ながら)チャレンジしてみるのは大いにアリだろう。なお、シングルテストは定格・OC時ともにスコアは大きく変わらないものの、若干だがOC後の方が高いスコアが出た。
「3DMark」 |
続いて、3Dグラフィックス系のテストである「3DMark」の結果を見てみよう。ミドルクラスGPU「Radeon RX 5500 XT」と組み合わせての計測ということで、スコアはそれほど高いわけではないが、CPUとGPUの持つポテンシャルはしっかりと発揮できていると言えそうだ。この計測においては、CPUオーバークロックによる恩恵は誤差レベルに留まるが、いずれのテストでも若干だがOC後の総合スコアが高かった。
「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」 |
実ゲームのベンチマーク結果も確認してみる。「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では、定格時・OC時ともにWQHD解像度以上で最高判定の「非常に快適」が出たものの、CPUオーバークロックによるスコアの違いはほとんど認められなかった。PCゲームの場合はアプリ側のエンジンや最適化状況によってもパフォーマンスが変わるため、こういう結果もある、程度に考えるといいだろう。
セッションの最後に、消費電力の違いもチェックしてみる。アイドル時の消費電力はAMDプラットフォームとしては抑え目な印象で、定格・OC時ともに60W弱でほぼ変わらない。一方、「CINEBENCH R20」の実行時にはOC時の消費電力が定格より40Wほど上昇した。そして「3DMark」の「Time Spy Extreme」実行時に関しては、GPUの影響が強いこともあり、どちらの消費電力もほとんど変わり映えがしないレベルに留まる。この組み合わせでは高負荷時の消費電力が200W程度に抑えられるため、燃費のいいマシンを組みたいのであれば有力なチョイスと言えるかもしれない。
「ROG STRIX B550-E GAMING」は、ミドルクラス向けの「AMD B550」チップセットを搭載しつつ、「AMD X570」チップセット搭載のハイエンド製品に比肩しうる機能性の高さを備えた魅力的なマザーボードだ。同チップセットを搭載したASUS製品の中では最上位モデルではあるものの、PCI-Express4.0対応、2.5ギガビットLAN、Wi-Fi 6といったトレンドの機能をしっかり押さえつつ、実勢価格30,000円前後を実現している点において、コストパフォーマンスは良好と言える。今後第3世代Ryzenを購入する多くのユーザーに強く訴求できる製品であることは間違いない。
「AMD X570」マザーボードは各社とも力作揃いであった反面、価格的にはミドル~ハイエンド帯でやや手が出しにくい。一方で「ROG STRIX B550-E GAMING」は性能・機能を可能な限り維持しつつ価格を大幅に落としたことで、非常にバランスの良い製品に仕上がっている。ハイエンド志向のユーザーはもちろん、次世代を見越してPCI-Express4.0対応製品を買っておきたい、比較的安価でネットワーク機能が充実したマザーボードが欲しい、といったユーザーにもおすすめだ。
協力:ASUS JAPAN株式会社