エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.887
2020.07.07 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
AMD「Ryzen 9 3900XT」市場想定売価税抜59,800円(2020年7月23日11時発売) 製品情報(日本AMD株式会社) |
既存モデルからブーストクロックを高めた「Ryzen 3000XT」シリーズ。グローバル市場向けには本日7月7日(火)、日本市場では約2週間遅れとなる7月18日(土)より販売が開始される |
第3世代Ryzenの登場からちょうど1年となる本日2020年7月7日。AMDから最新CPU「Ryzen 3000XT」シリーズが新たに追加されることになった。今年5月に発売が開始された第10世代Intel Coreプロセッサの対抗となる製品で、従来モデルから価格を据え置きつつ最大ブーストクロックを向上。これまで定評のあったマルチスレッド処理だけでなく、“シングルスレッド処理でもメインストリーム向け最高峰”のパフォーマンスが発揮できるようになったという。
最大ブーストクロックが引き上げられたことで、主にシングルスレッド処理性能が向上 | AMDの資料によれば、「Ryzen 3000XT」シリーズは、いずれも第10世代Intel Coreプロセッサの対抗として位置づけられている |
最大ブーストクロック以外は、従来モデルから変更がなく、製造プロセスは7nm、コアアーキテクチャには「Zen 2」を採用。ソケットはこれまでと同じコンタクトピン数1,331本のSocket AM4で、AMD 400シリーズ以上のチップセット(AMD 300シリーズのマザーボードでも独自対応している製品はあり)を採用したマザーボードであれば、BIOSをアップデートするだけで使用することができる。
今回は第3世代Ryzenと同時に発売が開始されたASRock「X570 Taichi」を使用しているが、BIOSのアップデートだけで問題なく動作させることができた |
シリーズ最上位となる「Ryzen 9 3900XT」は、12コア/24スレッドのRyzen 9 3900Xをベースにしたモデルで、最大ブーストクロックはフラッグシップモデルであるRyzen 9 3950Xと同じ4.70GHzへと100MHz引き上げられている。その他、ベースクロックは3.80GHz、キャッシュはL2が6MB、L3が64MB、TDPは105W。なおCPUクーラーは付属せず、280mmサイズ以上のラジエターを搭載した水冷ユニット、または同等以上の性能を備えた空冷クーラーとの組み合わせが推奨されている。
AMD「Ryzen 7 3800XT」市場想定売価税抜46,800円(2020年7月23日11時発売) 製品情報(日本AMD株式会社) |
シリーズ中ミドルレンジに位置づけられる「Ryzen 7 3800XT」は、Ryzen 7 3800Xのクロックアップモデル。最大ブーストクロックは200MH引き上げられ、Ryzen 9 3900XTと同じ4.70GHzを達成。コストを抑えつつシングルスレッド性能も重視したいなら注目のモデルになりそうだ。その他、コア数は8コア/16スレッド、ベースクロックは3.90GHz、キャッシュはL2が4MB、L3が32MB、TDPは105W。なおこちらもCPUクーラーは付属しない。
AMD「Ryzen 5 3600XT」市場想定売価税抜29,200円(2020年7月23日11時発売) 製品情報(日本AMD株式会社) |
シリーズの中ではローエンドに位置づけられる「Ryzen 5 3600XT」は、Ryzen 5 3600Xのクロックアップモデル。最大ブーストクロックは100MHz引き上げられ4.50GHz。その他、コア数は6コア/12スレッド、ベースクロックは3.80GHz、キャッシュはL2が3MB、L3が32MB、TDPは95W。なおこのモデルのみリテールクーラー「Wraith Spire」が付属する。
「Ryzen 3000XT」シリーズの中では唯一、リテールクーラー「Wraith Spire」が付属。とは言え、パフォーマンスを最大限に引き出したいなら別途クーラーは用意したほうがいいだろう |
またストレージ高速化技術「StoreMI」の最新バージョン「StoreMI 2.0」も同時リリース。ユーザーインターフェイスが刷新され、より設定がしやすく改良されたほか、キャッシュアクセラレーションアルゴリズムの改善によって、HDD単体から起動時間は最大31%、ゲームロード時間は最大13%高速化できるという。第1弾として、ダウンロード提供が開始されたのはAMD X570専用で、AMD X470/B450/B550/X399/TRX40向けは2020年第3四半期中に提供開始予定。なおAMD 300シリーズには非対応になる。
SSDをHDDキャッシュとして使用することで、大容量かつ高速なストレージ環境を構築する「StoreMI 2.0」。アプリケーションによっては実に6倍も性能が向上するという |