エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.887
2020.07.07 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
続いて消費電力をチェックしていこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「CINNEBENCH R15/20」実行時の最高値を採用している。
アイドル時は省電力機能が有効になり、コアクロック、コア電圧とも大幅に低下するため、いずれも60W後半で大きな差は出なかった。一方、高負荷時はTDPが同じ105WのRyzen 9 3900XTとRyzen 7 3800XTでも35W以上。TDP 95WのRyzen 5 3600 XTでは、80W以上もの差がついており、コア数の違いは大きいことが分かる。またRyzen 9 3900XTとRyzen 9 3900Xの比較では、ほとんど差がなく、クロックアップによる消費電力の増加は気にする必要はない。
ベンチマークセッションのラストは、AMD X570とAMD B550のチップセットの違いによる性能差をチェックしていこう。なおベンチマークテストには「CINEBENCH R15」と「CINEBENCH R20」を使用し、AMD B550マザーボードにはGIGABYTE「B550 AORUS MASTER」を用意した。
グラフを見ると分かる通り、AMD 500シリーズのチップセットであれば、どちらを使ってもパフォーマンス自体に大きな差は出なかった。AMD B550では、PCI-Express4.0 SSDが基本的に1台に制限されるが、後発らしく低価格ながら電源回路やネットワーク機能が充実した製品が多い。よって、2台以上のPCI-Express4.0 SSDを使いたい場合はAMD X570チップセットモデルを、1台で問題がないならAMD B550チップセットモデルがおすすめだ。
従来モデルから最大クロックを引き上げた「Ryzen 3000XT」シリーズ。ベースクロックは据え置きで、上昇幅も100~200MHzとそれほど大きくないため、特にマルチスレッド処理では過度の期待は禁物だ。
ただし、シングルスレッドが中心のアプリケーションやゲームでは、従来モデルから確実に上積みが期待できる。中でも上位モデルと同等の最高クロック(4.70GHz )で、コア数が少ないRyzen 7 3800XTは、自動オーバークロックの効きが良く、Intelを含めたコンシューマ向けCPUの中でも最高峰のシングルスレッド性能を発揮。ゲーミングPCとしては非常にバランスの良い存在だ。
価格は据え置きの「Ryzen 3000XT」。しかし、上位2モデルはCPUクーラーが省略されたため、実質的には値上げ。性能を重視するか、コストを重視するかで選択するといいだろう |
とは言え、すでに第3世代RyzenシリーズでハイエンドPC組んでいるなら、「Ryzen 3000XT」は完全に見送りでいいだろう。またこれから第3世代RyzenシリーズでハイエンドPC組む、もしくはRyzen 5以下のCPUからアップグレードを検討している場合、リテールクーラーを使いコストを少しでも抑えたいなら「Ryzen 3000X」を、より高冷却なCPUクーラーを購入して、CPUの持つパフォーマンスを最大限に引き出したいなら「Ryzen 3000XT」を選択するといいだろう。
協力:日本AMD株式会社