エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.895
2020.08.01 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
CINEBENCH系に続き、3Dグラフィックス系ベンチマークの「3DMark」を実行。基本はグラフィックスカードの性能がモノを言うテストながら、CPUのオーバークロックがどの程度影響があるのか見ていこう。
まずはDirect X12世代の4Kテスト「Time Spy Extreme」をチェックすると、直接影響のあるCPU scoreの差は約9%と大きい。総合スコアは約4%差まで縮まっているものの、CPU性能の上積みはしっかり数値に現れていいる。
次はDirect X11世代の4Kテスト「Fire Strike Ultra」だが、こちらもCPU性能が影響するPhysics scoreは10%近くの差がついている。しかし総合スコアはほぼ誤差の範囲で、あまり有意な差はついていない。マルチコアへの最適化が進んでいる「Time Spy」とは、やや傾向が異なるようだ。実際にどの程度パフォーマンスアップが体感できるかは、タスク次第ということになるだろう。
最後は、オーバークロックによる消費電力の変動をチェックしておこう。10分間何もせず放置した際の数値をアイドル時、「3DMark Time Spy Extreme」実行時の数値を高負荷時として、ワットチェッカーで計測を行った。
結論から言ってしまうと、今回のオーバークロックによる影響は極めて軽微だ。アイドル時の消費電力がやや高めな点は気になるものの、高負荷時でも増加幅は20W程度。電源ユニットへの負担はほとんどないと言っていい。マザーボードの電源周りが許容できるのであれば、その他のパーツに対する影響はそれほど気にする必要はなさそうだ。
AMD B550搭載マザーボードの中で、「MAG B550 TOMAHAWK」は価格的にちょうど真ん中くらいの立ち位置になるだろうか。エントリー・ミドルゲーマーにとって手を伸ばしやすいクラスの製品ながら、10+2+1フェーズの電源回路や大掛かりな冷却機構、さらに2.5ギガビットLANを絡めた強力ネットワークに至るまで、優秀な機能が揃っている。Wi-Fiを搭載しないなど“削るべきは削る”設計により、歴代シリーズ同様にコストパフォーマンスに優れた1枚に仕上がった。
独自回路を採用したメモリ周りもクラス最強レベルであり、低ノイズ仕様かつメモリ検証数の多さから、相性問題とも無縁。グラフィックスカードとNVMe SSDがシングル構成であれば排他制限もないため、極めて扱いやすい。歴代シリーズの名声そのままに、AMD B550マザーボードでもヒット作の仲間入りが期待される。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社