エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.896
2020.08.04 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
ここからはCooler Master国内代理店である株式会社アユート(本社:東京都文京区)から届けられた評価サンプルをパッケージから取り出し、外観デザインからチェックを開始する。高さ・奥行きともに500mmを下回るサイズだけに、本体はそれほど大きくは感じない。
ボディサイズは設置場所を選ぶ際に重要だが、組み込み作業時もできる限り扱いやすい方がいい。筆者的にはこの目安が10kgで、それ以上のPCケースを扱うと、決まって検証を終える頃には腰を痛めている |
内部構造が100点ではなくても、常に目に触れるフロントパネルデザインには妥協しないという人は少なくないだろう。「MasterBox MB511 ARGB」は実に個性的で、上部の張り出しを頂点に下部へ向かって傾斜が付けられている。そして多くの部分がメッシュ仕様である点は、製品の性格を表している。「ファインメッシュフロントパネル」と名付けられた前面は、機能面(通気性)と魅せる要素(ARGBファン標準装備)両者を上手に採り入れた。
明らかにビジネスユースではなく、普段使いからゲーミング要素を意識したデザインは、近年のCooler Master製PCケースにどこか共通している。シンプルでフラットな箱ではなく、丸みを帯びた角や、張り出しなどでボリュームを持たせる手法が目に付く。さらに全体を塞ぐ「密閉」よりも、「通気性」を重視する傾向にあり、メッシュ素材をデザインに取り入れる事を得意としている。このあたりから、冷却機器を起源とするCooler Masterの気質を窺うことができる。
ABS樹脂製のフロントパネルは、スチール製シャーシに6本のピンで固定されている。取り外し方法は、下部を握り、そっと引き剥がせばいい。フロントにラジエターの増設や冷却ファンの換装をしない限り、組み込み作業でフロントパネルを取り外す必要はないが、着脱式防塵フィルタのメンテナンス方法は覚えておこう。
左右各3本のピンでシャーシにガッチリ固定されているものの、それほどきつくないため比較的容易に引き剥がす事ができる |
取り外したフロントパネル裏面を見ると、張り出した部分の左右側面には着脱式メッシュフィルタを左右に装備。さらに下部の通気孔部分にもフィルタが用意されており、同様に取り外す事ができる。これらの仕掛けはメンテナンスを容易にしてくれる事で、PCを常に清潔な状態で運用できるというワケだ。
防塵フィルタは、張り出した部分の左右側面と下部に装備。なおフロントパネル前面も防塵フィルタが装着されているものの、ここは取り外しが想定されていない |
張り出したフロントパネルの頂上部分の傾斜は、スイッチおよびアクセスポート類が装備される。ここは「MasterBox」シリーズの意匠で、多くのラインナップでも採り入れられている。熱心な自作派なら、この部分を見ただけでCooler Master製品である事を見分ける事ができるはずだ。
個別に見ていくと、Cooler Masterロゴを形取った中央のボタンはPowerスイッチで、右端の小さな正方形のボタンはResetスイッチだ。ポート類は必要最低限で、右手はマイクとヘッドホン端子、左手にはUSB 3.2 Gen .1×2ポートが用意されている。
Cooler MasterロゴがモチーフのPowerスイッチ。電源がONの状態で周囲が白く発光するLEDが内蔵されている |
高冷却志向はフロントパネルのみならず、トップパネルも同様。天板のほとんどが通気孔仕様で、出荷時よりマグネット着脱式防塵フィルタが装着されている。なおハニカム状の通気孔の他には冷却ファンやラジエターを固定するスリットタイプのネジ穴も確認できる。これについては、後ほど詳しく解説しよう。