エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.898
2020.08.08 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
セッションの最後に、CPU温度と消費電力についてもチェックしてみる。CPU温度については、起動後10分間何もせずに放置した場合の温度をアイドル時、「3DMark」の「Night Raid」テストを実行した際の最高温度を「高負荷時」として採用している。
アイドル時の温度は45℃前後、高負荷時の温度は最大86.5℃。小型PCだけあって全体的に高めの温度が出ているものの、高負荷時でも多くの場面では70℃前後の温度で推移しており、高い負荷をかけ続けなければ大きな問題はないだろう。スリムPCとしては十分に優秀な冷却能力だ。
消費電力については、CPU温度と同じくアイドル時と、各テスト実行時の最大消費電力を計測している。
アイドル時の消費電力は約10Wと、極めて消費電力が低いことは一見して分かる。そのほかのテスト時でも、CPUが全力で駆動した場合は電力が60W付近まで上昇するが、おおむね30~40Wで推移する場面が多い印象だ。省エネ志向のマシンとしては最上級の低消費電力ぶりであり、有力なチョイスになりえるだろう。
「Mini PC PB50」は、高さを34mmに抑えた超スリムな小型筐体に第2世代Ryzen Mobileの処理能力を備えたベアボーンキットだ。8コア越えのCPUも珍しくなくなった昨今、4コア/8スレッドのCPUに物足りなさを感じるユーザーもいるかもしれないが、「Ryzen 7 3750H」には一般的な用途であれば比較的パワフルにこなしてくれるだけのポテンシャルがあり、省エネ効果も高い。多くを望まないのであれば、実用的な小型PCと言ってよさそうだ。まだ比較的珍しいRyzen Mobile搭載の小型PCというあたりも、この手のPCを好む自作ユーザーの心をくすぐるかもしれない。
ストレージ構成の選択肢が複数あるのも、大きな魅力だろう。「処理性能に多くは望まないが、ストレージ容量はなるべく欲しい」というユーザーは、意外と多いように思える。オフィス業務をこなすビジネスPCとして、ネットサーフィン用の個人PCとして、所有欲を満たすサブPCとして、あるいはサイネージ用のPCとして、活用できそうな範囲は実に広い。購入前に用途はしっかり決めておく必要がありそうだが、本製品を検討してみるのは決して悪い選択肢ではないだろう。
協力:ASUS JAPAN株式会社