エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.902
2020.08.19 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
「B550GTA」がしっかりとCPUやグラフィックスカードのパフォーマンスを発揮できているか、組み上げたPCで性能と消費電力を確認してみよう。ベンチマークテストは「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」「3DMark」「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」の4種類だ。
「CINEBENCH R15」のマルチスレッドテストのスコアは2,094cb、シングルテスト時のスコアは203cb。Ryzen 7 3700Xの性能を十分に引き出せている。「CINEBENCH R20」においても、マルチテストのスコアは4,825pts、シングルスコアは499ptsと、極めて妥当な数値を記録した。
ベンチマーク中の各部の温度 |
ベンチマーク中の各部をサーモグラフィで確認してみた。短時間のベンチマークではあるが、VRMヒートシンクのない上部のMOSFET付近も温度は50℃以下に抑えられており、I/Oシールド部分も表面温度は大きく上昇していない。一般的な利用方法なら、取り立てて問題はないと言っていいだろう。
続いて、3Dグラフィックス系のテストである「3DMark」の結果を見てみよう。今回は現行のRadeon RX 5000シリーズ最上位となる「Radeon RX 5700XT」での計測としているが、いずれもゲーミングPCとして問題なく活躍できるレベルのスコアが出ていることが分かるだろう。「B550GTA」自体はPCIスロットの活用を想定したマザーボードであるため、マルチメディアでエンターテイメントを楽しめるハイエンドPCを組んでみるのは良い選択肢に思える。
「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」においては、フルHDから4Kまで、すべての解像度で最高判定である「非常に快適」を達成。こちらも、性能に関しては十分だ。
最後に、消費電力の違いもチェックしてみる。消費電力は全体的に低めで、特にアイドル時の低消費電力ぶりはなかなかのもの。旧マシンからの乗り換えの際は使い古した電源ユニットも買い替えるユーザーが多いと思うが、このぐらいの構成であれば、電源容量は600W程度で十分賄えるはずだ。
BIOSTARの「B550GTA」は、第3世代Ryzenを乗りこなせるだけのポテンシャルを確保しつつ、一見レガシーとも取れるPCIスロットを採用することで、長らく使い込んだマシンを最新世代に乗り換えるための有力な選択肢となるマザーボードだ。現行世代のマシンでも活用したいような特定のPCIデバイスを所持しているユーザーにとっては、極めて少ない乗り換え先として、強く訴求できる製品であることは間違いない。
その反面、PCIスロット搭載、という言葉に惹かれないユーザーにとっては、性能は決して悪くないものの、他に魅力的なチョイスがいくらでもあるというのが正直なところ。それこそ先に述べた同社製品「B550GTQ」が価格的にもおすすめしやすいだろう。一言で言えば“刺さる人には刺さる”タイプのマザーボードであり、その尖ったアピールポイントをどのように捉えるかが購入の分かれ道となりそうだ。
協力:BIOSTAR Microtech International
株式会社アユート