エルミタ的「編集部で使ってみた」
2020.08.23 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
さて、ここからは「MB840M2P-B」を実際のPCに組み込み、その動作を検証していこう。テストに使用したNVMe M.2 SSDは、PCI-Express3.0(x4)接続のCFD「EG1VNE」シリーズの1TBモデル「CSSD-M2M1TEG1VNE」で、検証用のPCにはRyzen 9 3900とASRock「X570 Taichi」を組み合わせたハイエンドPCを使用。また負荷テストには「CrystalDiskMark 7.0.0」を使い、データサイズ16GiB、テスト回数9回を、3回連続で実施。その温度と転送速度の推移を「HWiNFO64」で測定した。
マザーボード本体のM.2スロットに接続した場合の「CrystalDiskMark 7.0.0」の結果 | 「MB840M2P-B」を使用した場合の「CrystalDiskMark 7.0.0」の結果 |
マザーボード本体のM.2スロットに接続した場合と、「MB840M2P-B」を使用した場合のスコアを確認するとシーケンシャル、ランダムとも違いはなく、PCI-Express3.0(x4)接続のSSDであれば、変換アダプタを使用することによるボトルネックは全く無いようだ。
またヒートシンクのない状態でも70℃前後と比較的温度の低い「CSSD-M2M1TEG1VNE」だが、「MB840M2P-B」を使用することで、温度は44℃へと25℃以上も低下。「MB840M2P-B」で使用されているアルミニウムトレイの冷却性能は非常に優秀であることがわかる。
アイドル時のサーモグラフィー結果 | 高負荷時のサーモグラフィー結果 |
続いてサーモグラフィーの結果を確認するとアイドル時の表面温度は30℃台とかなり低く抑えられている。また高負荷時にはアルミニウムトレイ全体の温度がまんべんなく上昇しており、SSDから発生した熱が効率よく拡散している様子が見て取れる。
最後に本来は非対応とされるPCI-Express4.0(x4)接続のCFD「PG3VNF」シリーズ2TBモデル「CSSD-M2B2TPG3VNF」でも検証を行ったので、簡単に紹介しておこう。
マザーボード本体のM.2スロットに接続した場合の「CrystalDiskMark 7.0.0」の結果 | 「MB840M2P-B」を使用した場合の「CrystalDiskMark 7.0.0」の結果 |
今回の検証ではシーケンシャル、ランダムとも1割弱転送速度が低下するものの、「CSSD-M2M1TEG1VNE」と同様のテストを完走することができた。あくまでも“自己責任”という但し書きはつくものの、動作自体はできるようだ。ちなみにSSDの温度は最高でも58℃で頭打ち。SSD単体ではあっというまに85℃まで上昇し、サーマルスロットリングが発生する「CSSD-M2M1TEG1VNE」だが、「MB840M2P-B」であればその発熱を完全に押さえ込むことができる。
専用トレイとハウジング設計の変換アダプタを組み合わせることで、本来は内蔵専用であるNVMe M.2 SSDをリムーバブルドライブとして使えるようになる「MB840M2P-B」。ツールフリーでSSDを実装できるスライドロック機構は秀逸で、専用トレイが1つしかない環境でもストレスなく運用できる。
また今回の検証結果を見る限り、正式対応が謳われているPCI-Express3.0(x4)接続のNVMe M.2 SSDなら、変換アダプタを使用することによるボトルネックもなく、SSDの持つパフォーマンスを最大限に発揮することができる。
さらにアルミニウム製の専用トレイは、冷却性能もとても優秀。複数のSSDを用途に合わせて使い分けたい人はもちろんのこと、NVMe M.2 SSD用の高冷却ヒートシンクを探している人にもオススメできる製品だ。
協力:ICY DOCK