エルミタ的「編集部で使ってみた」
2020.08.27 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
スペック表により「MM711」の製品概要を把握したところで、編集部に届けられた評価サンプルをパッケージからとり出してみよう。小振りなパッケージにはポリエチレン製の緩衝シートで包まれたマウス本体と、交換用のPTFE(テフロン)製マウスフィート(ソール)が詰め込まれている。他にも2つ折りの小さな冊子が同梱されているが、ボタンレイアウトと各役割が簡単に記されているだけで、詳細な設定やカラー変更など、製品本来のパフォーマンスを発揮させるための解説は省略されている。イマドキはWebサイトの最新情報をグラフィカルに見るというスタイルなのだろう。
パッケージから取り出したのは、MATTE FINISHのブラックモデル。画像からも表面の光沢仕上げがよく分かるだろう |
軽量化を果たすべく、底面までも穴あき仕様。さらに製品ラベルをそっと剥がしてみたところ、隠れた部分までパンチング加工が施され、徹底的な軽量対策が施されている事が分かった |
通常ならおとなしく、ボタンレイアウトや触り心地等の使用感をお伝えすればいいところ、いきなり分解してみることにした。なおお断りしておくと、製品の分解行為はその時点でメーカーの保証対象から外れる事になる。エルミタ読者なら”お手のモノ”だろうが、比較的高価な製品だけに、好奇心をグッと堪え、”分解代行”の画像レポートを見るに留めることをオススメしたい。ちなみに分解を促すワケではないが、下側ソール2枚の下に隠されたネジを外す事で、上部カバーは取り外す事ができる。それでは2つに分かれた「MM711」の構造を画像でチェックしてみよう。
マウスだけに構造はいたってシンプル。大きく分けて、スイッチ類など各コンポーネントが載った基板側のベース部と、手のひらを載せる上部カバーの2つで構成されている |
ABS樹脂製上部カバー部。ハニカムシェルデザインの内側には、ロゴ部に内蔵されたRGB LEDのイルミネーションを美しく魅せる発光用カバーと、左右ボタンを押す接触部の機構の様子も確認できる |
メイン基板が搭載されるベース部側。ゴテゴテ感が無いのは、軽量化が穴あき筐体だけに留まらない事を意味する。見た目には実にシンプルな構造に見えるだろう |
光学センサーの「Pixart PWM3389DM-T3QU」。解像度は7段階で、デフォルト値400-800-1,200(デフォルト値)-1,600-3,200-6,400-16,000)とされる |
プロセッサは「32 bit ARM Cortex M0+」(HOLTEK HT32F52352)を実装 | ロゴ部に内蔵されるLED部。BGR+に囲まれた白い部分(チップLED)が高輝度で発光する |
ホイール右横の小さな基板上にもRGB LED発光体が確認できる | こちらは左サイドボタン用のスイッチ |
ホイール下にあるDPIサイクルボタンにはKailh製のマイクロスイッチを採用。こちらは必ずしも高耐久である必要はない | 左右メインボタンにはオムロン製「D2FC-F-7N(20M)」スイッチを採用。2,000万回のクリックに耐える”プロ仕様”が謳われている |
ホイール用スイッチはHuano製マイクロスイッチが採用されている |
軽快な動きを目的とした、穴あきマウス。「MM711」の重さは公称60g(本体のみ)とされている。実際に軽量を行うと、重量計のデジタルはピッタリ60gを示した。なお分解したトップカバーのみを計測したところ、32gだった。つまり基板やスイッチ類等のコンポーネント側は28gとなる。想像とは逆の結果から、プラスチック製ボディのみならず、基板側の軽量化も行われている事が想像できる。
軽量化はボディに留まらず、ケーブルも例外ではない。製品情報に”鎖のようなケーブルからの解放”とあるように、耐久性と柔軟性を両立させた「ウルトラライトウィーブケーブル」(固定式 Ultraweaveケーブル)の採用もアピールポイントだ。実際に触れてみると、布巻(編組)された長さ1.8mのケーブルはとにかく軽い。極限まで軽量化を行うと、ここまでできるのかと感心してしまう。ともすれば心許ない”軽量ぶり”だが、決してマウス操作を邪魔することはないだろう。
「ウルトラライトウィーブケーブル」末端のUSBコネクタは、内部のプラスチック板がCooler Masterのコーポレートカラーの紫にカラーリングされていた |