エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.914
2020.09.24 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ラストは、ワークステーション向け用途を想定して、GPUレンダリングのパフォーマンスを確認していこう。ベンチマークテストには、「V-Ray:GPU」「Blender:OPTIX」「OctaneRender」の3種類を使用。なお「OctaneRender」では、今回のデータを使用する場合、最低64GB以上のメインメモリが必要なため、DDR4-3200 16GBx4にメモリを変更してテストを行った。
「V-Ray:GPU」で使用するビデオメモリは最高4GB前後で、「GeForce RTX 3080 Founders Edition」でもビデオメモリからデータがあふれることはない。それでも「GV-N3090GAMING OC-24GD」は、「GeForce RTX 3080 Founders Edition」より約24%高速。スコア差は、CUDAコア数の差(20%)よりも大きく、「V-Ray」ではメモリ帯域が広くなっていることもパフォーマンスに影響しているようだ。
「Blender:OPTIX」でも最大使用メモリは約8.8GBで、やはり「GeForce RTX 3080 Founders Edition」でもビデオメモリからデータがあふれることはない。それでも最もスコアの差が小さい「classroom」で約12%、最も差の大きい「victor」では約20%も高速化され、レンダリング関連の処理では「GV-N3090GAMING OC-24GD」が強さをみせる。
今回はNVIDIAが用意している大規模レンダリングデータを使ってテストを実施しているが、ビデオメモリの使用量は最大約14GB。24GBの大容量メモリを搭載する「GV-N3090GAMING OC-24GD」では、問題なくデータが収納できるが、「GeForce RTX 3080 Founders Edition」ではデータが溢れ、メインメモリの一部を流用する必要がある。
「GeForce RTX 3080 Founders Edition」ではビデオメモリにデータが収まらないため、メインメモリを流用 | 「GV-N3090GAMING OC-24GD」ではビデオメモリが十分確保されているため、メモリンメモリを使用しない |
そのため、前者はわずか40秒でレンダリングが完了するのに対して、後者は568秒と約14倍もの差がついた。これはあくまでもベストケースに近いテストだが、大規模なレンダリング処理を行う際には、大容量ビデオメモリが処理速度に大きく影響することは覚えておく必要がある。
GeForce RTX 30シリーズでは最上位となるGeForce RTX 3090。ただし、NVIDIAによると4K解像度までの既存ゲーミング環境では、あくまでもGeForce RTX 3080がフラッグシップという位置付け。GeForce RTX 3090は8Kクラスの次世代ゲーミングや、レンダリングなどのクリエイティブ向けワークステーションをメインターゲットに据えている。
実際ベンチマークの結果を確認すると、フルHDやWQHDなど解像度の高くない条件では、ゲームによってはほとんど差が出ないこともある。ただし、4K解像度になるとGeForce RTX 3080を概ね10%以上上回り、現行のシングルグラフィックスカードとしては間違いなく最高峰。さらに8K解像度に至っては、唯一無二の存在だ。
そして本職とも言えるレンダリング関連の処理では、CUDAコア数やメモリ帯域が優位に働き、比較的サイズの小さいデータでも20%前後、サイズの大きいデータでは10倍以上という驚きの結果。ワークステーション的な使い方も考慮に入れるなら、現状ではGeForce RTX 3090一択と言っていいだろう。
これまでも定評のあった「WINDFORCE 3X」だが、「GV-N3090GAMING OC-24GD」に実装されているそれはまさに秀逸。TGP350WのGeForce RTX 3090が相手でもまだまだ余力を残している |
そしてオリジナルモデルである「GV-N3090GAMING OC-24GD」に目を向けると、そのVGAクーラー「WINDFORCE 3X」の冷却性能はまさに圧巻。TGP350Wと、これまでのシングルGPUグラフィックスカードの中では飛び抜けて消費電力の多いGeForce RTX 3090だが、その発熱を完全に押さえ込むことに成功。さらに静音性も確保され、ハイエンドグラフィックスカードにありがちなノイズに悩まされる心配もない。
カードサイズが大きいため、搭載するPCケースは選ぶものの、これはGeForce RTX 3090搭載モデル共通の問題。実際リファレンスモデル「Founders Edition」でもカードの長さは313mm、厚さは3スロットあり、このクラスのグラフィックスカードを購入する人には大きな障害にならないはずだ。
協力:日本ギガバイト株式会社