エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.921
2020.10.13 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
GeForce RTX 3080の真価はレイトレーシング有効時にこそ発揮されるため、実際にレイトレーシングを有効化できるゲームやベンチマークソフトの結果を見てみよう。まず使用するタイトルは「Control」で、画質プリセットは“最高”、解像度はこれまで同様1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類。DLSSは1,920×1,080ドットでの計測時のみ無効化し、ゲーム内の一定コースを移動した際のフレームレートを「FrameView」で計測した。
グラフにはレイトレーシング有効時と無効時のフレームレートを併記しているが、DLSSを無効化したフルHD解像度での計測はもちろん、DLSSを使用しているWQHD解像度と4K解像度のテストでも、レイトレーシング有効時は負荷がガツンと高まることが分かるだろう。しかし注目すべきは、4K解像度、レイトレーシング有効時の結果でも平均フレームレートがぎりぎり60fpsを超えていることだ。前世代最上位のGeForce RTX 2080 Tiでも、4Kでレイトレーシングを有効化した場合、多くのタイトルで平均60fpsを実現するのが困難だったことを思えば、レイトレーシングはGeForce RTX 30シリーズでいよいよ現実的なオプションになりつつあると言っていいだろう。
次に「フォートナイト」のベンチマークの結果を見てみよう。画質プリセットは“最高”を選択し、解像度は1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3パターン。レイトレーシング有効時は効果をすべて適用、DLSSのプリセットを「バランス」に設定している。計測にはレイトレーシング効果を強調するクリエイティブモードの特別マップ「RTX Treasure Run」を利用し、一定コースを移動した際の平均フレームレートと最小フレームレートを「FrameView」取得した。
レイトレーシング用の試験的なマップという都合もあってか、レイトレーシング有効・無効時の差は「Control」よりも顕著になる。テストとしては過酷な部類だが、そんな環境下でもレイトレーシング有効時はフルHDで平均120fps前後、WQHD解像度で平均83fpsと、良好な結果が出ている。特に、レイトレーシングを有効にした状況下でハイリフレッシュレートディスプレイを現実的に利用できるフレームレートが出せている点は興味深い。さすがに4K時はフレームレートが60fpsを下回ってしまうが、マップの重さを考えれば、これでも健闘していると言っていい。
レイトレーシングとDLSSを盛り込んだ実ゲームベースのベンチマークアプリ「Boundary: Raytracing Benchmark」の結果も見てみよう。本アプリではDLSSのプリセットを3種類から計測可能だが、画質を極力維持する「Quality」と、フレームレートを重視する「Performance」の2種類で平均フレームレートの計測を実行した。解像度は1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類だ。
どちらもレイトレーシングは有効化されているグラフだが、DLSSのプリセットによっても負荷はまちまちであることが分かる。現行のレイトレーシング・DLSS実装タイトルにおいては、適用できる効果や選べるプリセットの設定がタイトルによってかなり異なるため、実際に快適さを突き詰める場合は、設定をいくつか試しつつ画質とフレームレートのバランスを取っていくのがベターだ。いずれにせよ、GeForce RTX 3080と前世代までのGeForce RTX 20シリーズではパフォーマンスに大きな隔たりがあるため、様々なタイトルでレイトレーシングの恩恵を受けたい場合、GeForce RTX 3080を導入するのが現状もっとも現実的な選択肢と言える。