エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.927
2020.11.01 更新
文:/撮影・pepe
最後のテストでは、バックライトの強制点滅によりモーションブラーを軽減する「NVIDIA Ultra Low Motion Blur」の効果を確認しよう。この機能はディスプレイ同期と排他的利用になるため、先ほどのディスプレイ同期テストと同様にNVIDIAコントロールパネルより同期を無効化している。さらに「ROG Swift 360Hz PG259QN」では、リフレッシュレートを240Hzまたは144Hzとしたときのみ利用が可能な点にも注意が必要だ。テストではリフレッシュレートを240Hz、「Pulse Width」をデフォルトの「100」に設定し、「Blur Busters UFO Motion Test」を使用してデジタルスチルカメラのスーパースローモーションで直接撮影している。
「ULMB」はバックライト点滅のパルス幅を調整することができるようだ。デフォルトでは「100」、「10」とすると点灯時間が減少してかなり暗くなる |
「NVIDIA Ultra Low Motion Blur」を有効にすることで残像が見えにくくなり、結果として残像感が減ったと認識できる機能ではあるが、先ほどの「OD」のように偽色が目立ち明転直後はやや白飛びしているのが分かる。これも実際に使用する環境に左右される部分ではあるが、今回のテストではリフレッシュレートを犠牲にしてまで使用する理由は特に見つからない。また画面は常時点滅しているため、実際に使用する際は眼精疲労等に注意が必要だ。
フレッシュレート60Hzで駆動する一般的な液晶ディスプレイと比較すると、その差が6倍となる360Hzは1フレーム当たりたったの2.8ms(0.0028秒)で画面が更新されていることになる。リフレッシュレート280Hzで駆動する「TUF GAMING VG279QM」も、特にディスプレイ同期のテストでは、スーパースローモーションでないとティアリング現象の確認ができないほどだった。さらに高速なリフレッシュレート360Hzを実現する「ROG Swift 360Hz PG259QN」では、スーパースローモーションであってもどちらが非同期なのか瞬時に判断することは難しい。設定を隠し、肉眼でブラインドテストをしたらほとんどのユーザーが分からないのではないだろうか。
一般的なゲーミング液晶では大画面かつ高解像度がトレンドで、使用する用途やゲームタイトルによってはウルトラワイドも人気だ。その点、リフレッシュレート以外のステータスが物足りなく感じるかもしれないが、そもそも「ROG Swift 360Hz PG259QN」は、ASUS自身が「プロeスポーツゲーマーのために設計されたゲーミング液晶ディスプレイ」と謳っている。「Counter-Strike: Global Offensive」や「Rainbow Six: Siege」「Overwatch」「Fortnite」などのいわゆる競技向けタイトルでは、24.5型FHDというスペックが定番であることを考えれば大きな問題ではない。
NVIDIAによると240Hzと比較して360Hz環境では最大4%エイム精度が向上するとされている。一般ゲーマーには分らないミリ秒が重要な競技eスポーツの世界において、この差は大きいはず。eスポーツに特化した世界最速のプロフェッショナルモデルが手に入るという点において、「ROG Swift 360Hz PG259QN」の存在意義は十分あるはずだ。
協力:ASUS JAPAN株式会社