エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.929
2020.11.05 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
まずは定番のレンダリングベンチマーク「CINEBENCH R15」で、CPUの純粋なパフォーマンスをチェックしていこう。
「Zen 3」のウリの一つであるシングルスレッド性能を計測するシングルコアテストは、Ryzen 9 5900Xが271cb、Ryzen 7 5800Xでも266cbで、「Zen 2」世代から20%以上も向上。データベースのスコアと比較しても、これまでのCPUの中では間違いなく最速だ。
またマルチコアテストについては、コア数、動作クロックともほぼ同じRyzen 9 5900XとRyzen 9 3900XTの比較で約14%スコアがアップしており、IPCの引き上げによる効果も確実にあるようだ。ただし、4コアのコア数の差を埋められる程ではなく、Ryzen 9 5900XとRyzen 9 3950X、Ryzen 7 5800XとRyzen 9 3900XTの比較では、いずれも後者の方が優勢だ。
続いて、よりメニーコアCPUに特化したレンダリングベンチマーク「CINEBENCH R20」のスコアを確認していこう。
シングルコアテストは、Ryzen 9 5900Xで640pts、Ryzen 7 5800Xでも627ptsで、データベースのスコアと比較してもやはり最速。またマルチコアテストでは、Ryzen 9 5900XとRyzen 9 3900XTの差は約17%に広がり、マルチスレッド処理でも確実に性能アップを見込むことができる。
続いてAVX2拡張命令をサポートする「HWBOT x265 Benchmark」を使い、動画のエンコード性能を確認していこう。
負荷の軽い1080pでは、Ryzen 7 5800XもRyzen 9 3900XTとの差はわずか3%、Ryzen 9 5900Xに至ってはRyzen 9 3950Xを上回るなど、4コアの差を埋めてしまうほどのパフォーマンスを発揮する。一方、負荷が重くなる4Kでは、Ryzen 9 5900XとRyzen 9 3950Xのスコアは逆転。Ryzen 7 5800XとRyzen 9 3900XTでも差が約12%に広がり、コア数によるメリットが大きくなる。とは言え、同一コア数のRyzen 9 5900XとRyzen 9 3900XTでは依然として20%とスコアに大きな開きがある。
次に、統合型3DCGソフトウェア「Blender」のベンチマーク結果を確認しておこう。テストデータには最もサイズの大きい「victor」を使用した。
レンダリング時間は16コア/32スレッドのRyzen 9 3950Xが最も短く、Ryzen 9 5900X、Ryzen 9 3900XT、Ryzen 7 5800Xが並ぶ、順当な結果。ただし、Ryzen 9 3950XとRyzen 9 5900Xの差は11秒(約2%)とごくわずか。コア数の差(16コアと12コア)が33%であることを考慮すると、Ryzen 9 5900Xはかなり健闘している。またRyzen 9 3900XTとRyzen 7 5800Xの比較でもコア数の差(12コアと8コア)が50%なのに対して、ベンチマークスコアの差は15%に留まる。
次に「V-Ray」ベースのレンダリング系ベンチマーク「V-Ray Benchmark」のスコアも確認しておこう。
スコアの傾向は「Blender Benchmark」に近く、Ryzen 9 3950XとRyzen 9 5900Xの差は約1%でほぼ同等。Ryzen 9 3900XTとRyzen 7 5800Xの比較でもその差は約19%に留まる。このことから「Blender」や「V-Ray」を使うクリエイターなら、「Zen 3」アーキテクチャを採用する「Ryzen 5000」シリーズは有望な選択肢になるはずだ。