エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.929
2020.11.05 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
シングルコアテストはRyzen 9 5950Xが269cb、Ryzen 5 5600Xでも255cbで、Ryzen 3000シリーズからいずれも約25%スコアが上昇した。またマルチコアテストでもRyzen 9 5950XとRyzen 9 3950Xで約9%、Ryzen 5 5600XとRyzen 5 3600XTでは約23%の差があり、シングルスレッド処理ほどではないが、「Zen 3」アーキテクチャによる上積みは確実にある。
シングルコアテストはRyzen 9 5950Xが636ptsで、やはり現行のデスクトップCPUとしては最高峰。またRyzen 5 5600Xでも600ptsを上回るスコアを記録した。
またRyzen 5 5600XとRyzen 5 3600XTではマルチスレッド処理で約27%と大きな差がついているが、これは全コアに負荷が掛かった場合のクロックがRyzen 5 3600XTでは4.175GHz前後なのに対して、Ryzen 5 5600Xでは4.375GHz前後に引き上げられているためだと思われる。
1080p、4Kいずれの解像度でもRyzen 9 5950XとRyzen 9 3950Xは約15%、Ryzen 5 5600XとRyzen 5 3600XTでは約20%もスコアが上昇しており、大量の動画エンコードをするなら「Ryzen 5000」シリーズを選択したほうがいいだろう。
「Blender Benchmark」によるレンダリング時間は、Ryzen 9 5950XとRyzen 9 3950Xで約14%、Ryzen 5 5600XとRyzen 5 3600XTの比較では約16%短縮された。これまでのテストに比べるとやや差は小さくなっているが、「Zen 3」アーキテクチャによる改良のメリットは確実にある。
「V-Ray」によるレンダリング性能は、Ryzen 9 5950XとRyzen 9 3950Xで約17%、Ryzen 5 5600XとRyzen 5 3600XTの比較では約23%もスコアが向上した。これまでの結果を見る限り、レンダリングや動画エンコードなどクリエイティブな作業では、Ryzen 3000シリーズから同じコア数のRyzen 5000シリーズにアップグレードするだけで、15~20%も処理時間を短縮可能。特に処理時間の長い、高解像度・高画質なデータを扱う場合には、作業効率を大幅に改善できる。
「プロセッサの性能」の「Whestone 浮動小数点/倍精度 Native」はこれまでのテスト結果と傾向はほぼ同じ。ただし、整数演算の「Dhrystone Aggregated-int」は、Ryzen 5 5600XとRyzen 5 3600XTの比較で約10%、Ryzen 9 5950XとRyzen 9 3950Xの比較では約3%に差が縮まり、CPU性能が重要な処理でも「Zen 3」の効果があまりないものがあることは覚えておく必要がある。
一方、「マルチメディア処理」の「集計マルチメディア整数」は、Ryzen 9 5950XとRyzen 9 3950Xで約28%、Ryzen 5 5600XとRyzen 5 3600XTでは約41%と、これまでのテストの中で最大の差がついた。これは、L3キャッシュアクセス時のレイテンシ削減が大きく影響していると思われる。
もともとシングルスレッド性能が重要なベンチマークということで、Ryzen 9 5950Xはもちろん、Ryzen 5 5600XでもRyzen 9 3950Xを上回る。また個別にスコアを確認すると、「Essentials」「Productivity」はRyzen 5 5600Xが、「Digital Content Creation」「Gaming」ではRyzen 9 3950Xが高いスコア。なお最も差が大きい「Productivity」では、約15%の差をつけRyzen 5 5600Xが勝利している。