エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.936
2020.11.25 更新
文:松野 将太/撮影:pepe
実際に「IMMERSE GH61」を利用し、ゲームや音楽といったコンテンツを試してみた。総合的な音の傾向としては、ゲーミングヘッドセットらしく低音が強めで高音の明瞭度が高いドンシャリ感はあるものの、全体のバランス的には思いのほかクセが少なく、あまりコンテンツを選ばず使っていける印象を受けた。加えてノイズ感もなく、低ボリュームでも微細な音が聞き取りやすい。「Nahimic」の解説でも少し触れたように、バスブーストがやや強めにかかった状態では低音のこもりが気になる場面があったが、そこはシンプルに効果量を調整することで対応できた。このあたりは、すべての音域のバランス感を重視したというオンキヨー製ドライバーの採用の効果も大きいのだろう。
「Counter-Strike: Global Offensive」では、銃声や足音をクリアに聴くことができる |
ゲームの中でも音が重要な判断要素となりやすい「Counter-Strike: Global Offensive」のようなFPSタイトルでは、銃声や足音をクリアに聴くことができ、位置の特定にも困らない。製品によってはUSB接続の際に音の出力遅延が問題になる場合もあるが、少なくとも実際に使用してみた限り、明確な遅延は感じられなかった。マイクの音質については「Nahimic」の解説で述べた通り、かなりよく音を拾うため、相手に自分の声が届いているかどうかを気にしなくていいのも嬉しいポイント。FPSのお供としては、十分に実用的な製品と言っていいだろう。
「モンスターハンターワールド:アイスボーン」のようなタイトルでは、臨場感を高めるバーチャルサラウンド機能は特に有用。「Nahimic」上やコントロールボックスから簡単にオン/オフできるため、違いを自分で確認してみるのは面白いだろう |
協力プレイタイプのゲームである「モンスターハンターワールド:アイスボーン」は、リアルな環境音の再現にもこだわったタイトルだが、ヘッドセットであればその魅力を存分に堪能できる。スピーカーからほどほどの音量で再生していた時には聴こえないような鳥のさえずり、遠くのほうから聴こえてくる水音といった細かなサウンドも、「IMMERSE GH61」であればしっかりと捉えられる印象だ。ゲーミングヘッドセットはFPSタイトルで重用されるイメージが強い人も多いかもしれないが、臨場感に重点を置いたシングルプレイのゲームにおいても大いに力を発揮してくれる。
そして臨場感という意味では、こうしたタイトルでこそ生きるのが7.1chのバーチャルサラウンド機能だ。サラウンド機能を有効化した場合、多くの場面で音場に奥行きが感じられるようになるわけだが、ゲーム内で会話しているキャラクターが本当に自分のそばにいるように感じられたり、モンスターの咆哮がふだん以上に迫力を増したりと、ゲーム中の雰囲気を大きく盛り上げてくれる。一方、FPSタイトルなどではサラウンド効果によりかえって足音の位置の把握が難しくなったりもするため、オンにすべきかどうかは場合による。こうした効果はプレイしているタイトルにもよるため、一概に有効とは言えないが、一度は試してみることをすすめたい。個人的には、上記のような「モンスターハンターワールド:アイスボーン」や「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」といったアクションアドベンチャー系タイトルとの相性がもっとも良いように感じられた。
最後に、3.5mmステレオミニプラグで直接接続下場合のサウンドにも触れておこう。音全体の傾向としてはUSB接続時と大きく変わらないものの、ひとつひとつの音のクリアさは当然ながらUSB接続時のほうが一段勝るため、USB接続を利用したあとでは物足りなさを感じるかもしれない。とはいえ利用に耐えないほどではなく、他にオーディオリスニング用のヘッドフォンを所持していない、携帯ゲーム機でもヘッドフォンが使いたいといった場面では活躍できそうだ。
「IMMERSE GH61」は、7.1chバーチャルサラウンドをはじめ、必要な性能を手堅く備えた本格的なゲーミングヘッドセットだ。FPSタイトル用として使うもよし、臨場感重視でゲームの世界に浸るもよしと、ゲーマーであれば使い道に困ることはないだろう。極端な味付けもないので、PCからスマートフォンまでのゲーミング用途はもちろん、映画やボイスチャット、日ごろの音楽鑑賞も1台でまとめたいユーザーにとっても有用だ。
また、価格も1万円台前半でゲーミングヘッドセットの入門用としてすすめやすい。さらに、5,000円以下の低価格ヘッドセットに満足できなかったカジュアルユーザーのステップアップ先としても選択肢に入ってくる。長く使えるヘッドセットを探しているのであれば、本製品を検討してみるのは悪い選択肢ではないはずだ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社