エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.938
2020.12.01 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
グラフィックス関連のベンチマークが一段落したところで、消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
アイドル時の消費電力は、GPUコア、メモリスピードとも同等レベルまで引き下げられるため横並び。また高負荷時の消費電力はGeForce RTX 3070の368.5Wに対して、GeForce RTX 3060 Tiは337.4Wで頭打ち。公称TGPの20W(220W→200W)を超える30Wの差がつき、GeForce RTX 3060 Tiはアッパーミドルながら省電力性能に優れるGPUと言えそうだ。
最後にデュアルファンを搭載するリファレンスクーラーの冷却性能と、サーモグラフィ結果をチェックしていこう。なお消費電力の計測と同じく、ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使用している。
「GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition」のリファレンスクーラーは、セミファンレス駆動に対応するため、アイドル時はいずれも回転が完全に停止する。そして、ストレステストを開始してGPUの温度が45℃を超えると回転をはじめ、回転率49%、回転数は1,757rpmで頭打ちになる。GPUの温度も最高73℃で、冷却性能にはまだ余裕がある状態だ。なお負荷テスト後はGPUの温度が35℃になったところで、ファンの回転が停止するのを確認した。
表面:アイドル時のサーモグラフィ結果 | 表面:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
裏面:アイドル時のサーモグラフィ結果 | 裏面:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
続いてサーモグラフィの結果を確認すると、アイドル時は表面、裏面とも30℃台でファンレス駆動ながらしっかりと放熱ができている。また高負荷時の温度は表面が64.8℃、裏面は71.2℃まで上昇しており、ヒートシンクだけでなく、バックプレートも放熱に一役買っているようだ。
GeForce RTX 3070の下位に位置づけられる、アッパーミドル向けGPUとして投入されるGeForce RTX 3060 Ti。SM数やCUDAコア数など、GPUコア周りは約20%と大きく削減されているため、4K解像度での落ち込みが大きく、特にレイトレーシング対応の最新ゲームではやや力不足な印象だ。
一方、メモリ周りは全く同じこともあり、WQHD解像度以下での性能差はおおむね10%前後。フルHD解像度では5%未満に抑えられているものもある。最近流行りの高リフレッシュレート液晶を使用した、フレームレート重視の設定でゲームをする場合には有望な選択肢になるだろう。
そして消費電力については、Ampereアーキテクチャの中でも突出して低かったGeForce RTX 3070から30W以上も低下。発熱も抑えられており、これまで検証してきたGeForce RTX 30シリーズの「Founders Edition」の中でも扱いやすさは抜群だ。
これまで通り、国内では残念ながら「Founders Edition」の販売予定はない。ぜひ国内で発売されるメーカーオリジナル製品には、大型クーラーを搭載した高冷却モデルだけでなく、これまでのGeForce RTX 30シリーズにはない、コンパクトモデルの登場に期待したい。
協力:NVIDIA Corporation