エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.947
2020.12.26 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
そもそも、前面から背面にかけて内部に構造物がないイマドキのPCケース設計は、長モノラジエターの搭載が主たる目的といえよう。しかし水冷システムのみならず、拡張カードもその恩恵を受けている。「DP502 FLUX」では、最大長405mmまでの搭載スペースが確保されており、現在市場に流通するコンシューマ向けグラフィックスカードのほとんどが問題無く搭載できるだろう。拡張スロットについても、全てを使い果たすシステム構成は現実的ではないため、ハイエンドカードが採用する3スロット占有デザインも苦にならない。
拡張スロット有効スペースに余裕があることを念頭に、搭載テストにはMSI「GeForce RTX 2080 GAMING TRIO」を用意した。実際に搭載してみると、長さ327mm、厚さ55.6mmのモンスターだが、まったくそれを感じさせない周辺クリアランスは、計測するまでもない。おかげで搭載作業自体も容易で、配線も苦にならない。広い空間はグラフィックスカード自体の冷却にも有利だろうし、これといった欠点は見当たらない。ほぼ満点でいいだろう。
長さ300mm超えのハイエンドグラフィックスカードも難なく収める事が可能。フロントパネルまでは実測で約70mmの空きスペースが確保できている |
ちなみにネジ留めは本体外部から行う設計。拡張スロットのブラケット固定を側面から補助するサポート金具は、上下2本のハンドスクリューでスライドできる仕組み |
最後にストレージを搭載可能箇所全てにマウントしてみよう。近頃の設計では、平均的な収納力の「DP502 FLUX」だが、5.25インチオープンベイを1段分備えている点がアピールポイントになっている。使用頻度は明らかに減ってはいるものの、光学ドライブ自体もだいぶ安価である事から、”とりあえず搭載しておく”といった考えもありだろう。せっかくの装備につき、是非検討してほしい。なお右側前寄り上下2箇所にある搭載スペースは、内部構造セッションで既に装着イメージがご紹介済みであることから、ここでは割愛した。
特徴のひとつである5.25インチオープンベイに、光学ドライブをセット。手順は内部から左右をツメで固定したベゼルを外し、前面からインストール。両側面をミリネジで固定すればいい |
左側面は前寄り2点、右側面は前後計4点でネジ留めを行う。なお奥行き170mmの光学ドライブの場合、リアファンまでが約250mm、リアパネルまでは約275mmの空きスペースが確保できる |
CPUクーラーメンテナンスホール下のSSD専用ブラケットは、一旦取り外した状態で2.5インチSSDを側面ネジ固定。その際、コネクタは下向きにする事が推奨されている |
2.5/3.5インチ共用シャドウベイには、専用トレイとユニット天板部それぞれに3.5インチHDDをマウント。コネクタは右サイドパネル側に向けての固定になる |
コの字状のユニットは、底面2本のインチネジで固定。なお天板部の2.5インチSSD/3.5インチHDDは底面ネジ留め式だけに、搭載する場合は一旦ユニットを取り外さなければならない。ここは内部固定式にするなど、要改良ポイントだろう |
こう見えて多彩な2.5/3.5インチ共用シャドウベイ。ユーザーの用途によって、搭載パターンが選択できる |
「F-LUX PLATFORM」第1弾となる「DF600 FLUX」の登場から約4ヶ月。当初のスケジュール通り、第2弾「DP502 FLUX」がリリースされた。第1弾はフロントに立体的デザインのアクリル製カバーを装着。標準装備品である3基の120mmアドレサブルRGBファンを最大限アピールするコンセプトだったが、第2弾は控え目な開閉ドアが装着され、その内部に5.25インチオープンベイを設けた。ボディこそ共通筐体だが、フロントパネルのデザイン変更で、上手に違う個性が主張できている。
決して製品の主役ではないが、フロント中央の冷却ファン左上に位置するイルミネーションギミックについて手元資料には「”Sci-Fi”(SF)の雰囲気を出している」と記されている。恐らく設計者は兄弟モデルが3機種揃うことを想定し、各々の個性を出そうとした形跡であろう。つい先日第3弾「P10 FLUX」が発表されたが、やはりまったく異なるフロントフェイスが与えられている。こちらの登場も楽しみだ。
ともあれ、”F-LUX PLATFORM 3部作”の2作目「DP502 FLUX」は、税込1万円ちょっとで購入できるゲーミングPCケースの佳作として、選択肢のひとつに加えてほしい。Antecならではの質感と、”コストに見合わない装備と設計”に満足頂けるのではないだろうか。
協力:Antec
株式会社リンクスインターナショナル