エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.959
2021.02.03 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ゲーム関連のベンチマークが一段落したところで、消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
アイドル時は、「Rage Mode」の有効・無効に関係なくいずれも60W前半で、非常に消費電力は低く抑えられている。また高負荷時は「Default」で約475W、「Rage Mode」では約25W上昇し、約501Wを記録した。今回はRyzen 9 5950XとRadeon RX 6800 XTを組み合わせた現行最高峰のシステムだが、推奨容量である750W以上の電源ユニットであれば全く問題ない。さらに「Radeon RX 6800 XT GAMING X TRIO 16G」では、補助電源コネクタも8pinx2とリファレンスと変わらないことから、電源ユニットのハードルはそれほど高くない。
最後にオリジナル3連ファンクーラー「TRI FROZR 2」の冷却性能をチェックしていこう。消費電力の計測と同じく、ストレステストは「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」で、温度やファンの回転数の測定には「GPU-Z 2.36.0」を使用している。
まず「Default」の結果を確認すると、ファンの回転率は約40%、回転数は1,400rpm強までしか上がらないのも関わらず、GPUの温度は最高67℃、HotSpotも最高87℃だった。さらに「Rage Mode」でも回転数は1,450rpm前後でほぼ変わらず。GPUの温度も最高69℃(HotSpotは96℃)と微増に留まり、約25Wの消費電力増ではほとんど冷却性能に影響はでなかった。これだけGPUクーラーに余力があるなら、手動オーバークロックでさらなるパフォーマンスアップも十分現実的な選択肢になるはずだ。
表面:アイドル時のサーモグラフィ結果 | 表面:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
裏面:アイドル時のサーモグラフィ結果 | 裏面:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
またサーモグラフィの結果を見ると、高負荷時には「グラフェンバックプレート」の電源回路やGPUコア部分の温度が上昇しており、サーマルパッドを使い効率よく熱が拡散されている様子が見て取れる。
最後に騒音値(測定時CPUファンの回転は強制的に停止)を確認すると、高負荷時でも「Default」「Rage Mode」とも40dBAを超えることはなく、バラック状態でも全く動作音が気になることはなかった。実際にPCに組み込んでしまえばCPUクーラーやケースファンのノイズに完全に紛れてしまうことだろう。
今回はMSI「GAMING X TRIO」シリーズの最新作「Radeon RX 6800 XT GAMING X TRIO 16G」の検証を進めてきた。その最大の特徴でもあるオリジナルクーラー「TRI FROZR 2」はさすがの出来栄え。最近のVGAクーラーは(特にハイエンドモデルでは)優秀なものが多く、以前のように高負荷時でもノイズに悩まされることは少なくなってきているが、そんな中でも群を抜いて静か。もちろん冷却性能も全く犠牲になっておらず、オーバークロックモデルにも関わらず温度は常に低く抑えられていた。
そのトレードオフとして、リファレンスモデルに比べるとカードサイズはだいぶ大きくなってしまったが、これはメーカーオリジナルモデル全般の問題。またMSIでは「グラフェンバックプレート」や「曲げ防止ストラップ」に加え、専用の「サポートブラケット」を付属するなどその対策も万全だ。
MSI「GAMING X TRIO」シリーズのNVIDIA GeForce RTX 30モデルと言えば、「TRI FROZR 2」によるその高い冷却性能と静音性から、いずれも指名買いの多い屈指の人気モデルだ。そしてRadeon RX 6000シリーズにおいてもその期待が裏切られることはなかった。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社