エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.963
2021.02.16 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ベンチマークテストが一段落したところで、デュアル水冷マシン最大の魅力でもある冷却性能をチェックしておきたい。CPU温度は「CINEBENCH R23」動作時の最高値で、GPU温度は「Time Spy Extreme Stress Test」動作時の温度を計測。それぞれ30分程度連続動作させ、その際の挙動を確かめてみよう。
CPU温度は最大でも65℃に届かず、360mmラジエターを搭載する「Celsius S36」の実力はさすがだ。そしてTDP300WオーバーのGeForce RTX 3080を冷却するオリジナルクーラーもまた、最大74℃と大健闘。平均温度は64℃に留まり、ハイエンドGPUをしっかり冷やしきれていることが分かる。しかもCPU・GPU・ケースを合わせて合計7基のファンを搭載しながら、マシンの動作音は極めて静粛。デュアル水冷仕様の恩恵がよく分かる結果となった。
最後は各種ベンチマークテスト・ゲームプレイ中におけるシステム消費電力をチェック。動作検証を締めくくろう。
最も消費電力が高かったのは、500Wを超えた「Battlefield V」プレイ時。それでも標準構成で850Wの電源ユニットを搭載するシステムとしては、それほど気になる水準ではない。800W台でも問題はないものの、ちょうど1000Wクラスの電源ユニットを搭載した場合に、最も変換効率が良くなる計算。どのモデルをチョイスするかは、純粋に好みの問題かもしれない。
デュアル水冷マシンを構築するにあたり、最も困難なミッションがグラフィックスカードの水冷化であることは言うまでもない。特に当代のハイエンドGPUであるGeForce RTX 3090/3080は、TDPが300Wを軽々と超えてくるモンスター。これまでいち早く最新GPUの水冷化を実現してきたサイコムをもってしても、容易いタスクではなかった。それは「G-Master Hydro X570A Extreme」をはじめ、対応モデルの発売がGPU解禁の約4ヶ月後にずれ込んだことからも窺える。
しかしこれまでもクーラーの改良や治具の新調といった、数々の試行錯誤を重ねてきた水冷化のノウハウは、他のBTOメーカーにはないものだ。今回もラジエターを拡張した新設計のクーラーに(ややパワープレイ気味に)3スロット厚の空冷クーラーを合体させ、GeForce RTX 3090/3080を冷やし切るオールインワン型水冷化を成し遂げた。
本来であれば、水冷仕様のメーカー製グラフィックスカードが登場するのを待った方が容易いのは間違いない。しかし納得のいく性能の水冷化グラフィックスをいち早く製品化したいという、サイコムのこだわりこそが「G-Master Hydro」シリーズの完成度を高めている。今回の主役である「G-Master Hydro X570A Extreme」もまた、やはり歴代製品と同様に期待を裏切らないデュアル水冷マシンだった。
レビュー執筆時点で「G-Master Hydro X570A Extreme」は、相変わらず在庫切れの状態。次回以降の入荷はいつ頃になるのだろうか? |
なお、唯一泣きどころになっているのが、昨今のグラフィックスカード市場の品薄傾向に影響される圧倒的な部材不足。初回分が早々に完売してしまったことから、「相当な在庫数を確保してから再販する予定」(担当者)とのこと。少々気長に待つ必要があるのかもしれない。
協力:株式会社サイコム