エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.965
2021.02.21 更新
文:撮影・こまめ
「UL Procyon」はアドビのクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストだ。比較用にクリエイター向けノートPC (Intel Core i7-10870H/32GBメモリ/1TB NVMe SSD/NVIDIA GeForce RTX 3070)と、筆者使用のデスクトップPC (Intel Core i7-8700K/32GBメモリ/256GB NVMe SSD/NVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER)の結果を含めている。
「Photo Editing Benchmark」は画像加工に関するテストを行なう。「Image Retouching」は「Adobe Photoshop」メインでGPU性能が影響しやすく、「Batch Processing」は「Adobe Photoshop Lightroom Classic」メインでCPUとストレージ性能が影響しやすい。「Video Editing Benchmark」は「Adobe Premiere Pro」を使ったテストで、フルHD (H.264)および4K (H.265)動画の出力にかかった時間が計測される。こちらの結果は総合スコアのみだ。
結果を見ると、どのテストでも「GE76 Raider」で優秀な結果が出ていることがわかる。その差がもっとも顕著に表れているのが「Video Editing Benchmark」だ。さすがに最新世代のハイエンドデスクトップPCほどではないものの、1~2世代前なら同等以上のパフォーマンスを発揮できると考えていいだろう。プロクオリティの大作を手掛けるのでないなら、クリエイティブ用途でももはやデスクトップPCにこだわる必要はないのかもしれない。
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」を4K解像度の最高画質で10分間実行し続けた際のCPUとGPUの温度を計測したところ、平均としてはCPUが72.8℃、GPUが64.5℃という結果だった。しかし温度の推移をグラフで見ると、CPUは60℃以下から98℃のあいだで温度が激しく上下している。CPUクロックも平均3.47GHzとやや抑え気味だ。おそらく内部の熱が上がりすぎないよう、あえてCPUのクロックを抑えているのだろう。とは言えベンチマーク結果を見る限りでは十分なパフォーマンスでているので、特に気にする必要はない。
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」を10分間実行し続けた際のCPUとGPUの温度およびCPUクロックの推移 |
消費電力については、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」を30分間実行し続けた際のワット数を計測した。空冷ファンを最大出力で動作させる「Cooler Boost」をオンにしているため、平均246Wとかなり消費電力が高い結果だ。空冷ファンやプリセットの動作モードを変更すれば、消費電力は抑えられるだろう。
ベンチマーク結果をご覧いただければおわかりのとおり、2021年1月にリリースされたNVIDIA GeForce RTX 30 Laptop GPUシリーズは非常に優秀だ。なかでも最上位のNVIDIA GeForce RTX 3080であれば、そこそこ重いゲームを4K解像度でも十分快適に楽しむことができる。新世代のGPUが登場したことで、ノートPCでも4K解像度のプレイが実用的なレベルにまで達したと考えていい。
ただしレイトレーシングについては、まだフルHD解像度が限界だ。4K解像度でレイトレーシングを有効化すると処理がかなり重く、スクリーンショットの撮影でさえままならない。現実的なところではレイトレーシングありでフルHD解像度か、レイトレーシングなしで4K解像度かを選択することになる。とは言え選択肢が多ければゲームの楽しみ方の幅も広がるわけで、そのぶん「GE76 Raider」は懐の広いマシンだとも言えるだろう。
加えて4Kモデルは映像品質が高く、プロクオリティの創作活動にも利用可能だ。フルHDモデルなら300Hzの高リフレッシュレートで、eスポーツレベルのプレイにも対応できる。最高のクオリティを発揮できるハイエンドモデルとしておすすめしたい。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社