エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.969
2021.03.02 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
現状、8コア以上のRyzen 5000シリーズは全てTDP105Wのため、ミニタワー型やスリム型のようなコンパクトなPCケースに組み込むと「発熱が心配だ」という人もいることだろう。そんな時は、AMD純正のチューニングツール「Ryzen Master」に実装されている「ECO Mode」を試してみるといい。自動ブースト機能の効果は控えめになるものの、TDPが65Wに制限されるため発熱を大きく抑えることができる。そこでテストセッションのラストは「ECO Mode」の効果についてチェックしていこう。
初期状態(定格)の「Ryzen Master」では、PPTは142W、TDCは95A、EDCは140A |
「CINEBENCH」系のマルチコアテスト実行時は全コア4.45GHz前後で動作 | 「CINEBENCH」系のシングルコアテスト実行時は4.80GHz前後までクロックが上昇 |
「ECO Mode」選択時の「Ryzen Master」。PPTは87W、TDCは60A、EDCは90Aへと変更されていた |
「CINEBENCH」系のマルチコアテスト実行時は全コア4.1GHz前後で頭打ちになる | 「CINEBENCH」系のシングルコアテスト実行時は定格とほぼ同じ4.80GHz前後までクロックが上昇 |
「ECO Mode」を有効にすると、PPTが142W→87W、TDCが95A→60A、EDCが140A→90Aに変更され、「CINEBENCH」系のマルチコアテストなど、マルチスレッド処理では動作クロックも4.4GHz前後→4.1GHz前後に低下する。一方、シングルスレッド処理の動作クロックについてはTDP65Wの制限に掛からないため、動作クロックはいずれも4.80GHz前後まで引き上げられることが確認できた。
ここからは各種ベンチマークテストを使い、「ECO Mode」の影響を簡単にチェックしていこう。まずは「CINEBENCH R15」の結果からだ。
マルチコアテストでは動作クロックが約300MHz低下することもあり、定格の2,545cbに対して、「ECO Mode」では2,336cbまでしか上がらず約8%スコアが低下。一方、シングルコアテストでは動作クロックの低下は見られずスコアにも大きな差はなかった。
「CINEBENCH R15」より処理が重い「CINEBENCH R20」だがスコアの傾向はほぼ同じ。マルチコアテストではやはり約8%スコアが低下するものの、シングルコアテストでは動作クロックの低下は見られずスコアにも大きな違いはなかった。
メニーコアCPUに最適化した最新バージョン「CINEBENCH R23」でも傾向はこれまでと同じ。マルチコアテストでは約8%スコアが低下する一方、シングルコアテストの差は1%未満で誤差のレベルに留まる。