エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.970
2021.03.04 更新
文:/撮影・pepe
OSDの制御は向って右側背面にある、十字方向と押し込み操作が可能なジョイスティックタイプの「Naviキー」で操作する。
基幹メニューを起動させると、白を基調としたシンプルなメニューが呼び出される |
また付属のUSBアップストリームケーブルを使用することで、独自のデスクトップOSDアプリ「Creator OSD」の利用が可能になる。表示される情報量が多く、詳細な設定や筐体背面のRGBイルミネーションの制御も可能になる。
デスクトップOSDアプリ「Creator OSD」は、画質調整のほかショートカットの登録や、RGBイルミネーションの制御を一括で管理することができる |
画質調整はアプリ起動直後のウィンドウにすべて集約されている | 複数のアプリケーションを自動でレイアウト可能な分割ウィンドウ機能 |
任意でショートカット機能を割り当て可能なホットキー設定 | おなじみの「MYSTIC LIGHT」ではプリセットされたイルミネーションのほか、ソリッドカラーの個別設定も可能 |
「Creator PS321URV」に搭載されるOSDは、これまでのMSIゲーミングOSDとデザインこそ異なるが、基本的に設定可能なメニューは共通となっている。その中でも特徴的なのは、OSD設定状態にかかわらず表示可能な「スクリーンアシスタンス」機能だ。「スクリーンアシスタンス」は、ルーラーやガイドを画面上に表示させることで、実際の印刷範囲やサイズを確認することができる。
人間の目は柔軟であるがゆえに、実際に見えている色の正確さに関わらずそれを基準に全体を調整しようとしてしまう。また明るさ、つまり輝度には敏感だが、色に関してはかなり鈍感なことが知られている。明るい液晶は視認性が高まり見た目も良くなるが、その時の色が正確であるかどうかは別問題だ。例えばメールやオフィスアプリケーション等の作業を行う用途であれば、高解像度で高輝度な液晶が好まれて色の正確さはさほど問題にならないが、RAWデータのカラーグレーディングを行う様なポストプロダクションでは、正確な色、あるいは意図する色で確実なアウトプットを要求される。自身の環境では問題なかったが、いざ出力したら「想像していた色と違う」といったトラブルを避けるためにも、カラーマネジメント液晶は欠かせない機材だ。
決して手軽に購入できる価格帯ではないものの、32型で4KUHD(3,840×2,160ドット)解像度、IPSパネル、最大輝度400 cd/㎡、表示色約10億7,300万色、さらにディスプレイ同期に対応しているとなれば、それだけで興味が出るユーザーも少なくないだろう。加えて専用の遮光フードが付属している点もポイントが高い。カラーマネジメント液晶の中には遮光フードが付属しないモデルもあり、その一方でサードパーティ製の遮光フードがほとんど存在しないことから、後から必要になっても環境を整えることができないこともある。こうした優れた仕様や付属品を考慮すれば、実は極めてお買い得なモデルであることに気が付くはずだ。心惹かれる要素が複数あるなら、ぜひ迷わず購入することをお勧めしたい。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社