エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.974
2021.03.12 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
AMD「Ryzen Threadripper PRO 3975WX」 市場想定売価税抜328,000円(2021年3月26日19時発売開始) 製品情報(AMD) |
今回の主役である「Ryzen Threadripper PRO」シリーズは、8Kレンダリング、ポストプロダクション編集などを行うプロフェッショナルスタジオや、最先端のクリエイティブ処理を行うデザイナー、大規模データの解析や複雑なシミュレーションを行うエンジニア、膨大なデータを処理するデータサイエンティストなど、プロワークステーション用途をターゲットにしたウルトラハイエンドCPUだ。
プロワークステーションをターゲットにしたRyzen Threadripper PRO。一応コンシューマ向けだが、機能についてはデータセンター向けのEPYCシリーズにかなり近い印象だ |
コアアーキテクチャはRyzen Threadripper 3000シリーズと同じ「Zen 2」で、メモリやPCI-Express4.0バスを搭載する12nmプロセスのI/Oダイ「cIOD」に、8基のCPUコアを内蔵した7nmプロセスの「CCD」を接続する「チップレット」方式を採用。コア数も最高64コア/128スレッドのまま据え置かれている。
I/Oダイ「cIOD」に、CPUダイ「CCD」が「Infinity Fabric」を経由して接続されている「チップレット」方式を採用 |
一方、メモリチャネルはコンシューマ向けとしては初めて8チャネルに対応し、UDIMMの他、Registered機能を備えたRDIMM、LRDIMM、3DS RDIMMも搭載可能。さらに最大メモリ容量も256GBから2TBに、PCI-Express4.0の最大レーン数も88レーンから128レーンへと大幅に拡張されている。
これにより、シングルCPUでも対抗となるIntel XeonシリーズのデュアルCPU構成を超えるマルチスレッド性能と拡張性を実現。また効果的に動作するブースト機能によって、いわゆる「HEDT」(High End Desktop :ハイエンドデスクトップ)CPUがこれまで苦手としていたシングルスレッド処理においても、メインストリーム向けCPUと遜色ないパフォーマンスが期待できる。
AMDの資料によるとシングルCPUで、Intel Xeon WのデュアルCPU構成を上回るパフォーマンスを発揮するとのこと。またビジネス向け機能として「AMD PRO」が新たに追加されている |
今回国内発売が開始されるのは、検証用に借り受けた32コア/64スレッドの「Ryzen Threadripper PRO 3975WX」の他、64コア/128スレッドのハイエンドモデル「Ryzen Threadripper PRO 3995WX」と、16コア/32スレッドのエントリーモデル「Ryzen Threadripper PRO 3955WX」の計3モデル。
Ryzen Threadripper PROには、今回発売される3モデルの他に12コア/24スレッドの「Ryzen Threadripper PRO 3945WX」も用意されている |
いずれもTDPは280Wで、ビジネス向けということもありオーバークロック機能は非搭載。なおCPUソケットはSocket sWRX8、対応チップセットはAMD WRX80に変更され、Ryzen Threadripper 3000シリーズとの互換性がない点には注意が必要だ。