エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.984
2021.04.10 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
グラフィックスカードの搭載テストには、奥行き225mmとやや控え目なGIGABYTE「GeForce GTX 1650 SUPER WINDFORCE OC 4G」(型番:GV-N165SWF2OC-4GD)を用意した。「P7 NEO」の性格を考えると、ハイエンド志向のゲーミングPCよりも、普段使いやビジネス用途まで幅広いユーザーが使う実用的なPCが似合っている。有効スペースとしては最大350mmまでが確保されているが、必ずしも最大値に近付ける事もないだろう。さらにフロントパネル裏手にラジエターを搭載しているため、多少の余裕を持たせる狙いもあった。
実際に搭載してみると多少の余裕どころか、ラジエターまでは実測で約105mmのスペースが残されている。左側面はソリッドパネルだけに、内部が露出されるワケではないが、スッキリとした見映えに収める事ができた。将来的な用途を想定し、ハイエンド志向のGPUを積む考え方もあるが、”ほどよい”製品を選ぶことで、補助電源コネクタケーブルが1本で済んだり、内部空間が確保できることでエアフローの最適化にも繋がる。さらに、より静音化を目指すなら、構成パーツのチョイスを今一度見直してはいかがだろうか。
「P7 NEO」のストレージ搭載スペースは計3箇所。組み込みセッションのラストは、全ての箇所に各ドライブを実際に搭載させてみよう。
5.25インチオープンベイは、まずフロントパネルを外し、内側から両側面をツメで固定されたブランクベゼルを取り外す。次にフロントパネルを元の状態に戻し、前面の開口部から光学ドライブを挿入。5.25インチオープンベイブラケット側面のネジ穴に合わせて、ミリネジで固定すればいい。
作業における注意点は、スイッチ&アクセスポート類のケーブルが、5.25インチオープンベイ付近を横断しているため、これを避ける必要があること。さらに光学ドライブ選定における注意点は、奥行き170mm以上のドライブは、マザーボードへ干渉する恐れがあること。後者に関しては、一部BD-Rで180mmを超える製品も存在する。ギリギリで避ける可能性もあるが、目視をした後に拡張を検討した方が無難だろう。
搭載テストには、奥行き170mmのDVDスーパーマルチドライブを使用。フロントパネルとベゼルを”ツライチ”に合わせると、5.25インチオープンベイブラケットネジ穴は後方から2番目を利用する事になった |
マザーボードトレイ背面の2.5インチSSD専用ブラケットは、上部のインチネジを外し、トレイをシャーシから分離。2.5インチSSDの底面4箇所をミリネジで固定し、元に戻せばマウントは完了する。なお固定ネジ位置やケーブルマネジメントの観点から、コネクタは下向きで設置する事になる。
裏配線スペースを有効活用した、2.5インチSSD専用ブラケット。設置が最もしやすいストレージ収納箇所で、搭載作業も数分で完了。トレイがベタ置き状態になるので、SATA電源ケーブル接続後、コネクタにストレスが掛からないよう配慮が必要 |
ケージタイプの2.5/3.5インチ共用シャドウベイは、2.5インチSSDまたは3.5インチHDDが最大2台まで搭載可能。3.5インチHDDについては「P7 NEO」唯一の搭載スペースとあって、検証では2台の搭載を試みた。ABS樹脂製の専用トレイには左右両側面にピンが4本突き出ており、3.5インチHDDのネジ穴にセットするツールフリー機構を用意。工具いらずで簡単に設置できた。なお2.5インチSSDの場合は、底面4箇所のネジ留めとなる。
コネクタを右側面方向に3.5インチHDDを設置。一連の作業に、工具の出番は無い |
シャドウベイユニットは4本のインチネジでシャーシ底面に固定。一連の搭載作業で取り外す必要はないが、前面に240mmサイズを超えるラジエターを設置する場合は、後方へ移動させる必要がある |
好評だった「P7 SILENT」のポジションへスムーズに移行させるべく投入された「P7 NEO」。ガラリと姿を変える大改修を見送り、静音ミドルタワーPCケースのお手本的存在であった既存モデルを、ちょっとずつ手を加えていくに留めた。自作PC市場はこれまで長く続いた大量消費が見直され、良いモノを熟成させていく方向にシフトしつつあるのだろう。そんな姿勢が「P7 NEO」から読み取る事ができた。
自作PC大ブームの頃、当時のビッグキーワードである「静音」は、長きに渡り市場を牽引した。今でこそハードウェアの進化により、構成パーツのチョイスに間違わなければ、自ずと静音PCが完成する。一方でAntecのPerformanceシリーズは大ヒット作「P180」の頃から物理的な素材による遮音・防音にこだわり、現代の「P7 SILENT/NEO」まで脈々と受け継がれている。
採用素材の進化がどれほどなのかは、果たして怪しいところではあるものの、それはさておき。静音化の手法として頑なに推し進める言わば”アナログな静音”こそ実は明快で、ユーザーの安心感と信頼感をずっと掴み続けている。いつまでも変わりのない「静音PCケース」は、Antecにある。
協力:Antec
株式会社リンクスインターナショナル