エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.985
2021.04.12 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ベンチマークテストによるパフォーマンスチェックが一段落したところで、次は「NITRO+ Radeon RX 6700 XT」のトレードマークでもある「Tri-X」クーラーの実力をチェックしておこう。検証には「3DMark」のストレステストの「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使用し、「GPU-Z」でGPU温度やファン回転数を計測した。
なお「NITRO+ Radeon RX 6700 XT」には、「Performance」と「Silent」の2種類のBIOSが搭載されているため、それぞれのBIOSモードでどのように挙動が異なるのか、合わせて見ていこう。
最大パフォーマンスを発揮する「Performance」に対し、「Silent」は動作クロックもやや控えめな設定になっているが、それぞれ冷却のアルゴリズムがまったく異なることが見て取れる。
「Performance」は回転数が概ね800~1,300rpmの範囲で乱高下しており、GPU温度を最大65℃程度で維持するために、最適な回転数制御を行っていることがわかる。その一方で「Silent」では、GPU温度が最大70℃程度まで許容されている代わりに、回転数は900rpm程度と控えめ。「Silent」はその名の通り、可能な限りファン回転数を抑えるよう設定されていることが分かった。
GPU温度を60℃台に抑え込んでいる「Performance」の冷却能力も印象的で、大きな負荷がかかるタスクが多い場合はこちらが有効。シチュエーションに応じた使い分けが効果的だろう。
最後はシステムの消費電力をチェックしつつ、各種動作検証を締めくくろう。ストレステストは先ほど同様に「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使用し、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として、ワットチェッカーによる計測を行った。
今回はCPUにウルトラハイエンドのRyzen 9 5950X(TDP105W)を組み合わせているが、消費電力は最大で365Wと控えめ。オーバークロック仕様であることの影響もほとんどなく、Radeon RX 6700 XTの省電力性が優秀であることが分かる。ミドル構成では一般的な、750~850W程度の電源ユニットであれば、ちょうど最良の変換効率で運用できそうだ。
さすがWQHD環境における高リフレッシュレートプレイを謳うRadeon RX 6700 XT搭載モデルとあって、想定通りの優秀なパフォーマンスが確認できた。まだレイトレーシング性能は競合と競るレベルではないものの、一般的なゲーミングシーンでは申し分のない性能。WQHDやフルHDではゲーミング液晶のポテンシャルを引き出せる一方、タイトル次第では4K解像度のプレイも狙えそうなレベルだ。Radeon RX 6700 XT搭載モデルの中から本命を探そうと目論むミドル層のゲーマーは少なくないだろう。
その中にあって、今回検証を行った「NITRO+ Radeon RX 6700 XT」は、新要素が盛り込まれた3連ファンクーラー「Tri-X」の完成度が光る。ファクトリーオーバークロックによる性能向上は限定的ながら、Radeon RX 6700 XTを文句なしに冷やし切れる優秀な冷却性能は魅力的。さらに手動でオーバークロックを狙う余地もあり、BIOS切り替えで極静音動作も狙える。これまでも高い人気を誇った「NITRO+」シリーズの最新モデルに相応しい、Radeon RX 6700 XTグラフィックスカードの決定版だ。
協力:SAPPHIRE TECHNOLOGY LIMITED
株式会社アスク