エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.992
2021.04.28 更新
文:藤田 忠/撮影:松枝 清顕
続いては、強烈な負荷がかかるMOSFET温度を確認していこう。「CINEBENC R23」の「Minimum Test Duration:30 minutes」と、「OCCT 8.0.1」の「CPU(データセット:大、テストモード:エクストリーム、負荷タイプ:一定)を30分間、さらにレンダリングに12分程度かかる「Blender Benchmark」の「victor」を実行。「Z590 AORUS ELITE AX」が備えるセンサー値「VRM MOS」を「HWiNFO64 Pro」で記録した。消費電力は、各負荷テスト実行中の「HWiNFO64 Pro」の「CPU Package Power [W]」から最高値を抽出した。
M.2ヒートシンクの冷却性能テストと同じく、CPU周りのエアフローが最低限になるのもあり、30分間CPUに最大限の負荷がかかる「CINEBENC R23」と「OCCT 8.0.1」実行時の「VRM MOS」温度は、定格運用時から30℃前後アップした92℃にまで上昇したが、テスト中にエラーは発生せず、問題なく完了した。また、実利用シーンに近いテストになる「Blender Benchmark」「victor」では、処理時間を短縮しつつ、温度は72℃に留まっていた。電源回路ヒートシンクへのエアフローは、多少考える必要があるが、Core i9-11900Kとの組み合わせも問題ない。
温度だけでなく、消費電力も強烈で、いずれのテストでも「CPU Package Power [W]」の値は定格から100W以上アップしており、システム全体の消費電力は400Wオーバーに達することがあった。
いずれも活用するためには、対応する周辺デバイスが必要だが、3万円前半の価格設定で2.5ギガビットLAN、Wi-Fi6+Bluetooth5.1、USB3.2 Gen2×2といったハイエンドモデルに迫る次世代インターフェースを網羅しているのは見逃せないところ。そのうえ、全コア5.1GHz動作の強烈な負荷に耐えうる電源回路やコンポーネントを実装するなど、「Z590 AORUS ELITE AX」のコストパフォーマンスは優秀と言える。
マザーボード同様にコストパフォーマンスに優れるCore i7/i5と組み合わせて、システムに長時間負荷が掛かるゲームを楽しんだり、クリエイティブな作業に勤しむもよし。また堅牢な電源回路を活かし、CPUのオーバークロックに挑戦するにも、ベストな1枚と言えるだろう。
協力:日本ギガバイト株式会社