エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.994
2021.05.07 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからは禁断の分解セッション。シール裏の2箇所を含む合計4箇所のネジを取り外すことで、上下フレームを分解することができた |
続いて「Ion Gold 850W」の筐体を分解し、その内部構造を確かめてみよう。その構成は「Ion+ Platinum」によく似たレイアウトになっており、一部を除きケーブルを使用しない現在主流のケーブルレス設計を採用。一次側に日本メーカー製、二次側に台湾製の105℃コンデンサを搭載し、87%以上の高効率動作を支えるDC-DC変換基板を備える。また、12Vは高出力に強い最大70.8Aのシングルレーン仕様な一方で、アイドル時にほぼ消費電力をゼロに落とす「Intel C6/C7ステート」もサポートしている。
そのほか、冷却ファンはLLSベアリングを採用する140mm口径の「Dynamic」シリーズファンを搭載。850Wモデルにおける仕様は最大回転数2,000rpm、最大風量119.0CFM、最大静圧2.82 mmH2O、最大騒音36.6dBAと言ったところ。ただし25℃環境であれば負荷50%までは600rpmほど、フルロード時でも1,000rpm程度しか回転が上がらず、騒音値も最大25dBA前後に留まるレベルで動作するようだ。
150mm四方の筐体内に無駄なく詰め込まれた、「Ion Gold 850W」の内部構造。放熱面積の大きそうなヒートシンクデザインは「Ion+ Platinum」シリーズ譲りだ |
まずは交流電源の入り口にあたる入力部から。突入電流や高周波ノイズを防ぐEMC/EMIフィルターを備えている |
交流を直流に変換する一次側の整流回路。発熱が大きいため、MOSFETは向かって左側のヒートシンクに貼り付けられている | 力率を改善するアクティブPFC回路のコイル |
脈流をより安定した直流に変換する一次側の平滑回路を俯瞰。奥側あるのは直流電力をパルス状の高周波に変換するスイッチング回路で、発熱が大きいためヒートシンクを備えている |
平滑回路には、400V/105℃対応のニチコン製大容量コンデンサが実装されていた |
コンデンサの奥には、NTCサーミスタおよびバイパスリレー、各種保護回路が実装された基板が確認できる |
LLC回路周辺と回路に実装されているトランス。MOSFETはヒートシンクに直接貼り付けられている |
中央に実装されているメイントランスとサブトランス。入力電圧を各パーツが実際に使用する電圧に近い電力に変換する |
スタンバイ用と思われるサブトランス |
トランスから出力されたパルスをサイド直流出力に変換する、二次側の整流回路・平滑回路にかけてのエリア |
2次側回路に実装されていた、台湾トップシェアのTeapo Electronicによる105℃コンデンサ | 高速な応答性能が要求されるため、固体コンデンサも採用されている |
12Vから5Vと3.3Vを生成するDC-DC変換基板。一次側でACからすべての電圧に変換するより高効率な動作が可能になる | ユニット最奥には、モジュラーコネクタが接続されるケーブルマネジメント基板を備えている |
冷却ファンは、静音ファン「Dynamic」シリーズの140mmモデルを採用。LLCベアリングを内蔵する静音ファンで、システム温度に応じた回転数制御に対応している |