エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.999
2021.05.19 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
側面にある4箇所のネジを取り外すことで、内部にアクセスできた。早速その構造をチェックしていこう |
直結式の電源ユニットということもあり、ややクラシカルな印象を受ける「HYDRO S 750W」の内部構造。そして意外なほど内部パーツが少ないことに驚かされる。本体の重量は約1.8kgで、それほど重さも感じない。
もっとも、これらのシンプルな設計は電源専用に最適化された多機能制御IC「MIA IC」による賜物だ。単に部品数を減らしただけでは電源として不安定になってしまうところ、複数の機能を1チップのICに凝縮することで、設計の簡略化と高信頼性を両立させている。
なお「HYDRO S 750W」は、+12V系が最大62.5A出力に対応したシングルレーン仕様。OCP(過電流保護回路)、OVP(過電圧保護回路)、SCP(短絡回路保護)、OPP(過負荷保護回路)、OTP(過温度保護回路)の各種保護回路も搭載されている。
クラシカルかつ超シンプルな内部構造。独自IC「MIA IC」により部品数を削減できているためで、不良や故障率が減らせるのに加え、冷却効率にもいい影響がある |
まずは交流電流の入り口である入力部から。高周波ノイズの原因になる突入電流などを取り除くため、XコンデンサやYコンデンサ、チョークコイルなどが実装されている |
交流を直流に変換(整流)する、一次側の整流回路。大きな熱が発生するため、MOSFETは小型のヒートシンクに貼り付けられている | 力率を改善するアクティブPFC回路のコイル |
一次側の平滑回路。耐圧450V/105℃対応のルビコン製大容量コンデンサが実装されていた |
直流電力をパルス状の高周波に変換するスイッチング回路。発熱が大きいため、やはりMOSFETはヒートシンクに直接貼り付けられている |
やや奥側に実装されていた、入力電圧を各パーツが使用する電圧に変換するためのメイントランス。すぐそばにサブトランスを従えている |
ヒートシンクに取り付けられたMOSFETが覗く二次側の整流回路から、同じく二次側の平滑回路にかけて。コンデンサはルビコンおよび日本ケミコンの105℃品が採用されていた |
多数の機能を1チップで実現する、FSPが電源専用に開発した「MIA IC」。かつての「RAIDER II」シリーズと同様、6600番台のICが採用されている |
冷却ファンは、Yate Loon ElectronicsのHydraulicベアリングファン「D12SH-12」を採用。最大回転数2,400rpm、最大騒音29.8dBAというスペックで、システム負荷に応じた自動回転制御で動作する |