エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1005
2021.06.04 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
Ryzen Threadripper PROの豊富なPCI-Express4.0レーンを活かし、計4基のM.2スロットを搭載する「M12SWA-TF」。RAID機能を使えば、高速かつ大容量なストレージや、重要なデータを安全に保護する冗長化ストレージを構築できる。そこで本項では、PCI-Express4.0(x4)接続に対応するCORSAIR「MP600」の1TBモデル「CSSD-F1000GBMP600」を4台用意し、RAIDのパフォーマンスを簡単にチェックしておこう。
下段の3基並んだM.2スロットM.2-0/-1/2は、間隔が狭いためヒートシンクを装着したままだと干渉してしまう |
なおCORSAIR「MP600」には、サーマルスロットリングを解消するためあらかじめヒートシンクが搭載されているが、下段にある3基のM.2スロットは、間隔が狭いためヒートシンクを装着したままだとそれぞれのSSDが干渉してしまう。そこで今回はヒートシンクを外した状態で検証を行っている。
「Aptio Setup Utility」に「RAIDXpert2 Configuration Utility」を表示するには、「NVMe Configuration」の「NVMe RAID mode」を「Enabled」にする必要がある |
RAIDレベルはSingle(RAIDABLE)/0/1/5/10の5種類から選択が可能 | 設定は画面の上にある項目から順に選択していくだけ |
NVMe M.2 SSDによるRAIDの構築は「Aptio Setup Utility」にある「RAIDXpert2 Configuration Utility」で行う。基本的にはRAIDレベルを選択して、RAIDを構築するドライブを選択するだけ。その他の項目は初期設定のままでもとりあえず問題ないため、特に戸惑うことなく作業を進めることができるだろう。
単体 | RAID 0/2台 |
RAID 0/3台 | RAID 0/4台 |
RAID 5 | RAID 10 |
RAID 0に関しては、RAIDに使用するSSDの数が増えるに連れ、ほぼリニアにシーケンシャルアクセスが上昇。4台では読込・書込とも単体の4倍以上となる約16,000MB/secを記録した。ランダムアクセスについては大きな違いはないものの、シーケンシャルアクセス性能を追求するならメリットは大きい。
またデータの冗長化ができるRAID 5やRAID 10でもシーケンシャルアクセスは軒並み上昇している。RAID 5ではストレージ1台分、RAID 10では実用量の半分になるため、容量面でのデメリットはあるが、重要なデータを保存するなら積極的に活用したい。
SuperOブランドの製品として投入された「M12SWA-TF」だが、シンプルな電源回路ヒートシンクや、小型のファン付きチップセットヒートシンク、むき出しのリアインターフェイス周りなど、最近のハイエンドマザーボードとしてはかなり素っ気ないデザイン。さらにUEFIもオールドスタイルのBIOS風のUIを採用するなど、全体的にサーバー色が強く、イマドキのマザーボードに慣れているとやや戸惑うこともあるかもしれない。
とは言え、フルレーン動作に対応する6本のPCI-Express4.0(x16)スロットや、RAIDに対応する4基のNVMe M.2スロット、超広大なメモリ帯域を実現する8本のメモリスロットなど、Ryzen Threadripper PROの魅力を引き出す機能は抜かりなし。また高品質パーツで構成されたオーディオ回路をはじめ、コンシューマ向け用途で必要になる機能も一通り網羅されている。
原稿執筆時点、SuperO「M12SWA-TF」以外に2種類のRyzen Threaderipper PRO対応マザーボードが発売されているが、いずれも価格は税込130,000円台。85,000円前後で購入できる「M12SWA-TF」はコスト面でも非常に魅力的な製品だ |
そして従来のSuperOブランドの製品と同様、Supermicroがサーバーで培った耐久性・信頼性を重視する設計は、このモデルでも当然ながら継承されている。それでいて他社のRyzen Threadripper PRO対応マザーボードと比較すると約5万円も安価な「M12SWA-TF」は、無駄を省くことで価格を抑えた“質実剛健”を地で行くハイエンドマザーボードだ。
協力:Supermicro Computer, Inc.
株式会社アスク