エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1010
2021.06.15 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
次は重量級の3Dグラフィックス描画における電圧変動をチェックするため、3Dベンチマークテストの「3DMark」を動作させる。ソフトウェアに搭載されたストレステストの中から、DirectX 12環境の4K負荷テストである「Time Spy Extreme Stress Test」を実行。テスト時間はこれまで同様に、30分に達するまで動作させている。
なお、ストレステスト中の消費電力は最大536Wに収まった。CPUへの負荷が少ないため控えめに感じるが、それでも850W電源にとっては60%以上の負荷がかかっていた計算だ。
グラフにはポツポツとテスト動作に応じた微小な変動が出ているが、ほぼ波形に乱れがない点は同様だ。ほぼ12.091Vフラットで出力が推移するのも同じで、平均値が12.098Vとかなり近い数値であることは、長時間の負荷テストにおけるブレのない動作を示している。
ここからは実際のゲームプレイ時の環境に近付けるため、ゲーム系ベンチマークテストを実行した際の挙動を確かめていく。まずはMMORPGの人気タイトル「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークテストから。グラフィックス設定は「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットを選択し、30分間ループでテストを実行した。
テスト中における消費電力は最大でも478Wで、これは今回の検証で最も少ない数値だった。変換効率的には理想に近い56%の負荷で、実際のゲームプレイ時でもこのくらいの要求が一般的かもしれない。
さすが不規則な負荷が断続的にかかるゲーム系のロードテストだけに、グラフにはこれまで以上の変動が見られる。しかし実際のところ、変動は常に12.091~12.197Vの決まった範囲に収まっており、定格比での最大変動幅も2%程度。負荷の大きさが目まぐるしく移り変わる難しいシチュエーションでも、極めて高いレベルで安定している点はお見事だ。
最後は同じくゲーム系のベンチマークテストから、より負荷の大きな「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークを動作させてみる。カスタム設定で最も負荷が大きくなるように項目を選択し、3,840×2,160ドットの解像度で30分間ループ実行での検証を行った。
さすがにヘビー級の負荷をかけるタイトルだけに、最大消費電力は「3DMark」を超える553W。850Wモデルの「AJ-850M」にとっては65%程度の負荷で、この状態が断続的に長時間要求されることになる。
単純な負荷は「FFXIV」より大きいのだが、グラフ波形の変動はかなりおとなしい。戦闘シーンなどに合わせて変化する電力要求に連動し、やや小刻みな変動がある程度。ほとんど12.091Vで動作している点はこれまでのテストと同様で、驚くことに平均値も12.091Vピタリ。常に一定した出力を維持できていることが窺える。全行程で12Vが定格割れするシーンもまったくなく、信頼がおける電源ユニットであることがよく理解できた。