エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1016
2021.06.28 更新
文:池西 樹(検証)/文・撮影:松枝 清顕(解説)
パッケージから本体を取り出し、「Liquid Freezer II – 360」をすみずみチェックしてみよう。まず目に付くのは、個性的なウォーターブロックだ。スリーブ仕様のウォーターチューブが接続されたウォーターブロックは、上部にプラスチック製のカバーを装着。LEDイルミネーションを搭載しない”正統派”の「Liquid Freezer II – 360」は、ブラック基調の落ちついたカラーリングが新鮮に映る。それでいて個性的なのは、ウォーターチューブの横に装着された冷却ファンの存在だ。一見水流計かと思いきや、CPUソケット周辺のヒートシンクに風を当てる役割を果たす、“第2冷却装置”と言ったところ。後ほど詳しく解説しよう。
ポンプはARCTICが独自に開発したPWM制御タイプを採用。800~2,000rpm(1.0~2.7W)で可変し、低負荷状態では回転数を落とすことで、無駄な騒音値を抑える考えだ。また受熱ベース(コールドプレート)は銅製で、内部はマイクロスカイブフィンを採用。露出部分のプレートは実測で約44x40mmだった。
出荷時、銅製受熱ベースには保護シールが貼られている。意外にも剥がし忘れが多いそうだ |
ウォーターブロックの外形寸法は98x78x53mm。ちなみに冷却ファン搭載部は実測で約19.0mm厚だった |
CPUソケット周辺にそびえ立つヒートシンクに風を当てる”第2冷却装置”。40mmと小粒だが、その性能はテストセッションで思い知る事になる |
次に最大の特徴とも言える”第2冷却装置”、VRM冷却用ファンに注目してみよう。ウォーターブロックに実装される40mmファンは、CPUソケット周辺のヒートシンクに常時風を当て続け、VRMを冷やそうというもの。CPUを冷却する役割のオールインワン型水冷ユニットの搭載品としては少々蛇足に感じるかもしれない。しかしCPUだけでなく、VRMの高温対策にも配慮することで確実にシステム全体の安定動作に貢献するだろう。
回転数は1,000~3,000rpm(PWM対応)。最低回転でも4桁だが、この手の40mmファンは最低1,000rpm程度がなければ効果的な風量は生み出す事ができない。気になる騒音値だが、PCケースの中で駆動する小型機器だけに、存在すら気にならないレベルだった。
40mmファンはPWM対応の可変式で、小さなコネクタで底面より給電されている事が分かる。なお受熱ベースの下にはポンプが内蔵されている |
一般的な汎用40mmファンとは明らかに形状が違うVRM冷却用ファン。某パーツメーカーの旧ロゴを思い起こさせる |
特殊なインペラ形状により、側面から外部に風を排出し続ける設計。ここにもLED等のイルミネーションは採用されておらず、どこまでも硬派なARCTICなのだ |