エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1023
2021.07.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
AMD「Radeon PRO W6800」 実勢価格税込約350,000円前後(2021年6月発売) 製品情報(AMD) |
AMDから、昨年11月に登場したコンシューマ向けGPU「Radeon RX 6000」シリーズと同じ、最新グラフィックスアーキテクチャ「RDNA 2」を採用するワークステーション向けGPU「Radeon PRO W6000」シリーズが登場した。
「RDNA 2」アーキテクチャを採用する「Radeon PRO W6000」シリーズ。Infinity Cacheやハードウェアレイトレーシングに対応する |
アーキテクチャの刷新により、これまで非対応だった「ハードウェアレイトレーシング」機能がサポートされた他、AIベースのアップスケール処理や、ノイズ削減処理性能が大幅に向上。またビューポートの表示性能を大幅に高めることができる「Radeon PRO Viewport Boost」機能にも対応する。
ハードウェアレイトレーシングに対応したことで、レイトレーシング処理はGCNから2倍以上も高速化されている |
さらに「Radeon RX 6000」シリーズのワットパフォーマンス向上にも大いに貢献したキャッシュメモリ「Infinity Cache」や、CPUからすべてのグラフィックスメモリにアクセスできる「Smart Access Memory」、画質を損なうことなくレイトレーシング性能を高める「可変レートシェーディング」(VRS)などの最新機能を搭載。これにより、「RDNA」アーキテクチャとの比較で約80%、「GCN」アーキテクチャとの比較では2倍近く性能が向上しているという。
AMDによれば、「RDNA」と「RDNA 2」では80%近くパフォーマンスが向上。ワークステーションのワークロード処理にかかる時間を大幅に短縮できる |
製品ラインナップは今回検証を行う「Radeon PRO W6800」を筆頭に、メインストリーム向け「Radeon PRO W6600」、モバイルワークステーション向け「Radeon PRO W6600M」の3モデル。いずれも1,700種類におよぶソフトウェア認証を取得しており、描画品質が保証されているのもコンシューマ向けグラフィックスカードにはない特徴だ。
「Radeon PRO W6000」シリーズでは、1,700種類におよぶソフトウェア認証を取得しており、描画データの品質が保証されているのも大きなメリットだ |
そんな「Radeon PRO W6000」シリーズのハイエンドモデルに位置づけられるのが今回の主役である「Radeon PRO W6800」だ。4K解像度以上のヘビーワークロードを想定したモデルで、GPUコアは「Navi 21」、コンピュートユニット数は60基、ストリームプロセッサ数は3,840基で、128MBのInfinity Cacheを搭載する。
ストリームプロセッサ数やトランジスタ数、コンピュートユニット数はいずれも「Radeon RX 6800」と同じ |
GPUコアの構成だけ見ると「Radeon RX 6800」と似ているが、「Radeon PRO W6800」では、ビデオメモリの容量が2倍のGDDR6 32GBに拡張されている他、メモリエラーを訂正するECC機能に対応。また出力インターフェイスとしてminiDisplayPortx6を備え、5K解像度までなら6画面、8K解像度でも2画面の同時出力に対応する。
直接対抗となるNVIDIA Quadro RTX 5000に比べるとメモリ容量が2倍にも関わらず価格は350ドル安価。また消費電力も抑えられている |
その他、ベースクロックは1,575MHz、ピーククロックは2,300MHz、メモリバス幅256bitで、メモリ帯域は512GB/sec。バスインターフェイスはPCI-Express4.0(x16)、補助電源コネクタは8+6pin、消費電力は250W。なおピーク処理性能はFP64が1.11TFLOPS、FP32が17.83TFLOPS、FP16が35.66TFLOPとされ、「Radeon Pro W5700」の約2倍、「Radeon Pro WX 9100」との比較でも約1.44倍と大幅に引き上げられている。