エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1023
2021.07.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは「Radeon PRO W6800」に実装されている外排気クーラーの性能をチェックしていこう。消費電力の計測と同じく、ストレステストには「Blender:OPTIX:victor」を使用している。
冷却ファンの回転数はいずれも最高2,000rpmでほぼ同じ。ブロワーファン特有のノイズがあるため、コンシューマ向けグラフィックスカードに実装されている、メーカー各社のオリジナルクーラーに比べるとたしかにノイズは大きい。とは言え、バルク状態でもうるさいと感じるほどではなく、PCに組み込めばそれほど気にならないだろう。
またGPUの温度は、ホットスポット温度でも70℃、GPU温度は65℃で頭打ち。「Radeon Pro WX 9100」に比べると処理時間が短いため温度が上がりきっていない可能性もあるが、いずれも10℃以上も低く、「Radeon PRO W6800」の外排気クーラーは十分な冷却性能を備えている事がわかる。
最近のAMDのワークステーション向けグラフィックスカードは、「RDNA」アーキテクチャを採用する先代モデル「Radeon Pro W5700」はあくまでもミドルレンジ向け。その前に登場した「Radeon Pro VII」は、アーキテクチャ的にはマイナーチェンジに留まることから、未だ3世代前の「Radeon Pro WX 9100」を使い続けているというクリエイターも少なくないだろう。
そんなクリエイターにとって、「Radeon PRO W6800」は久しぶりに買い換える価値のあるハイエンドグラフィックスカードだ。OpenGL系のベンチマークでは多くのテストで約1.6倍、最大で2倍以上のパフォーマンスを発揮。さらにメモリ容量も2倍の32GBに拡張され、これまでなら複数枚のグラフィックスカードが必要だった大規模なプロジェクトも処理できるようになった。
それでいて消費電力は「Radeon Pro WX 9100」よりも30W以上も低下。GPUの発熱も抑えられており、正直買い替えるにあたり欠点は見当たらない。コンシューマ向けグラフィックス性能を飛躍的に向上させた「RDNA 2」アーキテクチャだが、ワークステーション向けの処理でもその力を存分に発揮してくれることだろう。
協力:日本AMD株式会社